環境の本土の声を ~「国策民営」リニアの現場から
2023年07月14日グローバルネット2023年7月号
土の声を ~「国策民営」リニアの現場から
著●信濃毎日新聞社編集局
リニア中央新幹線の途中駅ができる長野県。国策で進められる歴史的事業を、発行部数41万部、県内占有率74.4%の有力地方紙、信濃毎日新聞社はどう報じていくのか。
前書きで同社編集局長は「賛成、反対の旗幟を鮮明にして言い切るような記事では読者の信頼は得られない」と述べ、現場を歩き、事実を一つひとつ積み重ねた記事を書いたと明かす。
ジャーナリズムの王道だ。記者たちは地元住民を中心に約500人もの関係者に取材し、「国策民営」というあいまいな事業構造や人口減少時代に今までの成長神話に軸足を置いたままで良いのかという疑問にもぶつかる。そして、何よりも大都市圏の利便性のために翻弄される地方、田舎、土に根差して生きる人たちの声、すなわち「土の声」に耳を傾けるよう国や事業者に迫っている。(岩波書店、2,400円+税)