環境の本海の中から地球が見える~気候危機と平和の危機
2023年05月15日グローバルネット2023年5月号
海の中から地球が見える ~気候危機と平和の危機
著●武本 匡弘
プロダイバー・環境活動家として、日本各地で講演、子ども・若者向けの環境教育を行ってきた著者が、戦争と環境破壊の関係について語った一冊。戦闘行為による自然環境の破壊やCO2の排出だけではなく、核実験による汚染、基地建設によるサンゴ礁やその他の生態系の破壊、経済的に困窮する若者の米軍への入隊といった現実が、マーシャル諸島、グアム、沖縄県の辺野古・大浦湾などでの見聞を通して突き付けられる。
筆者は、自然環境、動植物、社会的・経済的に弱い立場の人びとの犠牲の上に進められる戦争を「人間中心主義の象徴」と断じる。平和憲法の恩恵を少なからず受けてきた日本こそ、気候と平和の危機、双方の解決をより強く訴えていく立場にあるのではないか(あけび書房、1,800円+税)。