環境の本有明海のウナギは語る~食と生態系の未来 

2023年04月14日グローバルネット2023年4月号

有明海のウナギは語る ~食と生態系の未来

著●中尾 勘悟、編著●久保 正敏

A4版285ページ、50年以上かけて記録された写真がふんだんに使われた本書は、さながらウナギを語り尽くした大辞典の感がある。編著者の久保正敏・国立民族学博物館名誉教授は、「ミクロな視点の研究とマクロな視点の研究が協働することで互恵的効果が得られた」と本書の特徴を語っている。

ミクロな研究を担ったのが有明海のウナギ漁や漁民の暮らしなどをカメラで記録し続けている著者の写真家・中尾勘悟さんだ。「淡水生態系の食物連鎖の頂点にいるニホンウナギの資源量の消長から、水辺の生態系の現状、人間社会と生態系との関わりが見えてくる」というのがウナギへの愛と絶滅への危機感にあふれている、著者・編著者二人からのメッセージだ。(河出書房新社、2,700円+税)

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