環境の本(2)日本の森のアロマ ~人と地球の未来を結ぶ~
2022年01月17日グローバルネット2022年1月号
日本の森のアロマ ~人と地球の未来を結ぶ
著●稲本 正
本書でいうアロマは植物から抽出したオイル(精油)。植物の生命力を濃縮したものだと筆者は言う。日本はその使用量が最も多い国の一つで、多くは輸入品だそうだ。工芸村「オークヴィレッジ」の設立者でもある筆者は、五感のアンバランスが引き起こす心身への影響を危惧し、また、日本産アロマが国内の森林保全、地域の雇用創出に有益と考え、岐阜県・飛騨高山の工房で研究・開発を続ける。本書はアロママッサージの方法や日本人になじみのあるスギ、ヒノキ、アスナロ、クロモジなどのアロマについても細かく紹介されている。
クロモジは「深い森の奥から精霊が運んできた、とでも言いたくなる奥行きのある香り」であるという。その香りを想像するほど、森の中で深呼吸をしたくなる。(世界文化社、1,800円+税)