フロント/話題と人武末 克久さん(合同会社Co・En Corporation 代表)

2021年08月15日グローバルネット2021年8月号

「究極のシューアイス」でマダガスカル産の
アグロフォレストリー・バニラを広めたい

武末 克久(たけすえ かつひさ)さん(写真左)
合同会社Co・En Corporation 代表

マダガスカル産の、森林農法(アグロフォレストリー)で栽培されたバニラを使ったアイスクリームを挟んだシューアイスが、6月から東京、名古屋、大阪、福岡で販売されている(名古屋と大阪は終了、東京と福岡は8月31日まで)。コンセプトは「Farmer to You」。「生産農家の顔が見える形で日本の皆さんに味わってもらいたい」という思いが込められている。

バニラを輸入する武末さんは、もともとサプライチェーンにおける森林破壊など環境社会問題を起こさない、生物多様性に配慮した調達や経営について企業にアドバイスする環境経営コンサルタント。2017年に観光で訪れたマダガスカルで、森林農法・有機栽培でバニラを育てる協同組合を訪問。ライチやシナモン、コショウなどバニラ以外の多様な作物を育てている森のような農園で、農薬や肥料も使わずに質の高いバニラを作っている農家の姿を見て「森を破壊しないことの具体的な意味を心で理解できた」。ここから武末さんの日本でマダガスカルのバニラを広める事業が始まった。

今年1月に飛び込み営業で立ち寄った渋谷の店で、田尾あゆみさん(写真右)と出会った。全国100店舗以上の飲食店のプロデュース・運営をする(株)トランジットジェネラルオフィスに所属し、その店の担当としてSDGs(持続可能な開発目標)をテーマに、ビジネスとして循環する企画を思案中だった田尾さんは、顔の見えるバニラのストーリーに賛同。「究極のシューアイス」プロジェクトはマダガスカル大使館公認も得て、とんとん拍子に進んだ。

店舗ではあえてバニラの出所やストーリーを前面に出さない。しかし「1個630円は高いと思ったけれど、バニラのいろいろなストーリーを知って満足した」といったコメントが寄せられ、伝えたい価値がじわじわと広がっていることに二人は手応えを感じている。

武末さんの扱う「Farmer to You」バニラは、トランジット社以外の菓子店など全国約40ヵ所でも使われている。今回の企画で協力したアイスクリーム・メーカーも正式採用を決定、トランジット社もこの森林農法バニラを使った新たな企画を継続していく予定だ。「生産者と消費者が双方向につながり、お互いがハッピーになる、そんな好循環をバニラでつくっていきたい」。武末さんの思いがどこまで広がっていくか、今後の展開が楽しみだ。(希)

タグ:, ,