特集/セミナー報告 2Rビジネスの新展開~日本初のシェアリング容器ビジネス Re&Go(2Rビジネスの事例紹介②)
2021年04月15日グローバルネット2021年4月号
NISSHA 株式会社
吉村 祐一(よしむら ゆういち)さん
本特集では、2R ビジネスの拡大を加速するため、東京都環境局が昨年11 月27 日に開催したオンライン・セミナー「2R ビジネスの新展開」での講演内容と、紹介された国内・海外の新しく始まっている2R ビジネスの事例について紹介します。なお、一部内容については各登壇者に確認の上、最新の情報に直してご紹介しています(2020年11月27日、オンラインにて)。
NISSHAは、京都に本社を置く、加飾成形品や電子部品、医療機器などを手掛けるメーカーで、当社はサステナビリティの観点から事業を通じた社会課題の解決に注力しています。
この一環としてサーキュラーエコノミー推進を目指し、テイクアウト容器のシェアリングサービスRe&Goに取り組んでいます。
私は参加者が企業に籍を置きながら新しいアイデアを具現化し事業化を目指すインキュベーションプログラム(主催:株式会社フェニクシー)に参加していました。これはある一定期間、一緒に生活しながら事業アイデアを練っていくというもの。私が常々考えていた事業アイデアの、環境負荷低減ビジネスでリユース容器のシェアリングを軸としたサービスがRe&Goです。
問題意識を行動に移せるサービス Re&Go
Re&Goとは、Rethink(使い捨て容器を使うことが当たり前になっている今のやり方を再考する)、Reduce、Reuse、Recycle、Returnの五つのReと、それを行動に移すGoを組み合わせた、地域全体で使用できるサービスです。環境負荷を下げたいという意識を持っていても、行動に移すのが面倒だったり大変だと感じる場合もあります。Re & Goには問題意識を簡単に行動に移せるサービスを作っていきたいという意味を込めています。
なぜリユース容器を基本としたサービスを展開するか。使い捨て容器として使われることの多いものに、ストロー、カトラリー、カップのふた、カップ・トレイが挙げられ(International Coastal Cleanup2019報告書)、これらはテイクアウトで発生するものと推測されます。そのため、何度でも使えるリユース容器の利用を広げたいと考えたのです。
利用者は、図3のようにアプリのLINEを利用し、加盟店舗のカフェやレストランでテイクアウトの際にQRコードで管理するシェアリング容器を使い、その容器は使用後加盟店に返却してもらいます。回収については、地域の経済活性化を視野に入れ、地域事業者と連携し、洗浄については、洗浄設備を持つ飲食店やホテルに洗浄を委託します。一ヵ所で大規模に洗浄するのではなく、地域内で連携することにより輸送時の排出量を削減し、さらなる環境負荷低減を目指します。
本サービスでは三つの効果が期待できます。1点目は、地域全体で容器ごみ削減量が可視化できること。2点目は、店舗をまたぐデータを集約して活用することにより、飲食店の販売促進を支援することができます。そして3点目は、回収や洗浄を生業としていない場合でもパートナーとして参画でき、各パートナーの空きリソースを有効活用することができます。
なお、容器は機能性を持たせ、温かいものは温かく、冷たいものは冷たいままで提供し、加盟店であればどこでも返却が可能です。そして利用者のインセンティブとして、クーポンを用意しています。
沖縄読谷村での実証実験 2021年後半の始動を目指す
このサービスについて共同開発したNECソリューションイノベータ(株)と2社で、2020年12月1日から2021年2月14日まで、沖縄県読谷村において実証実験を開始することを11月に発表しました。
回収業務については、運転代行のプラットフォームを運営している地元のALPACA.LABと協力しながら進めていきます。お酒を飲んだ人に代わって運転を代行するサービスを運営しているので、空いている昼の時間帯を有効活用できるのです。また、洗浄については、リゾートホテルを運営する大和リゾート(株)のロイヤルホテル沖縄残波岬にフォローいただきます。個人店や、スターバックスコーヒー沖縄読谷村店も参画いただきます。
実証実験の結果を踏まえて、このサービスの有用性について確認し、2022年後半に正式に始動したいと考えています。