環境の本・海洋プラスチック 永遠のごみの行方
・甘いバナナの苦い現実

2020年10月15日グローバルネット2020年10月号

海洋プラスチック 永遠のごみの行方

著●保坂 直紀

世界的に関心が高まっている海のプラスチック汚染について、最新の研究動向やデータを紹介しながら、わかりやすく解説されている。プラスチックの生産量や処理方法、それが海にどれくらい流出し、海の生態系や人間の健康にどのような影響を及ぼしているか、などプラ問題を理解するのに欠かせない事柄について、新聞社出身の科学ライターが丁寧にひも解いている。

「レジ袋をもらわないだけで、この大きな問題が解決するとは思えない」。誰もが感じているモヤモヤした気持ちに応えるために書かれた本書は、科学的根拠を基に冷静な判断が求められる環境問題への向き合い方も示している。(角川新書、900円+税)

 

 

 

 

 


甘いバナナの苦い現実

編著●石井正子 著●アリッサ・パレデス、市橋秀夫、関根佳恵、田坂興亜、田中滋、野川未央

輸入用バナナ生産地の環境破壊、生産者・労働者の低賃金や劣悪な労働環境、農園外にも空中散布される農薬などバナナの裏側に潜む問題と、バナナの「エシカルな食べ方」の理解に、豊富な情報で導いてくれる。

「認証マークがついていれば何の問題もないかというと、そうとは言い切れない」という。「ヒトを含む哺乳類の脳の発達を阻害することが明らか」と指摘されている農薬が許可されている認証マークの存在を例に挙げている。

関心に合わせて章ごとに読むこともできる構成。身近なバナナから私たちの消費スタイルを見直せる、読者と未来に優しい一冊。(コモンズ、2,500円+税)

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