フロント/話題と人勝見 仁泰さん
(Allesgood(アレスグッド)代表、高千穂大学4年)
2020年09月15日グローバルネット2020年9月号
「エシカル就活」で社会を変えたい
新型コロナウイルスの感染拡大により企業の採用が影響を受けることも予想される中、「大学での社会活動を就職後も生かしたい」と学生自身が動き始めた。
「エシカル就活」。エシカルは「倫理的」という意で、人や地球環境、社会に配慮した企業を選ぶ就職活動を表すために彼ら自らが造り出した語だ。
この活動の仕掛人である勝見さんは今年2月、東京・渋谷で開かれた「学生気候危機サミット」に参加した際、出会った仲間と「今の活動を就活や就職で断念せず、キャリアとして生かしたい」と話題になったことから、団体Allesgood(アレスグッド)を立ち上げた。8月に気候変動対策に取り組む企業4社を集めて初めてのオンラインイベントを開催。全国から約140人の就活生が参加し、企業の取り組みを聞き、グループに分かれた企業との対話も実現した。
勝見さんはもともとプロを目指していた高校球児。大学入学が決まり野球部の寮に入る前、「海外に行ってみたい」と一人で初めて訪れたフィリピンで世界観が変わったという。帰国後、推薦された大学への入学を断わり、別の大学に入学。マニラやインドの貧困地区に通い、2年生になってからは文部科学省の留学支援制度で選抜されてドイツや米国等に留学。社会問題解決のためのソーシャルビジネスや、気候変動、持続可能な開発に対する関心がますます深まったという。
10月に「多様性」をテーマに2回目のイベントを計画中。そして2021年1月には合同企業説明会を開催し、企業50社、学生1,000人を集めることを目指す。
コロナ禍での活動スタートに影響はないか尋ねると、「今だからこそ始めなければと気付いた」と勝見さん。会場費などが不要で経費があまりかからないオンラインでのイベント運営であれば、企業・学生双方が地方からでも参加でき、逆に可能性が広がったという。
「年間の就活生約40万人のうち1万人の意識が変われば社会を変えられると思う。学生が何のために働くのかを見つめ直し、関心を形にできるような就職活動にしたい」と勝見さん。「草の根の活動ではなく、学生、企業、大学を巻き込んだ大きな人材支援活動に広げたい」と全力投球で挑む。21歳。(絵)