気候変動(温暖化)
「人類の危機」をもたらす温暖化、その原因も「人類」
「気候変動」は気候やそのパターンの長期的な変化を指し、太陽の変化や火山の噴火など自然の要因でもおきます。しかし、現在急速に進んでいる温暖化は自然要因だけでは説明ができません。1800年頃からの工業化以降、人間活動から排出される温室効果ガスの増加が、温暖化を急速に進めています。そして、熱波や、豪雨、干ばつ等の異常気象がより激しく、より頻繁に起こる事態につながっています。
近年、日本では熱中症の患者数や、豪雨による災害が増えています。これによって命を落とす事もあり、被害はますます深刻化しています。この危機感の高まりから「気候危機」とも呼ばれるようになりました。
しかし、忘れてはいけないのが、その原因は私たち人間の生活にあるということです。
世界中の専門家が気候変動に関する科学的知見を評価・提供する政府間組織「気候変動に関する政府間パネル:IPCC」(以下「IPCC」)では、1988年の発足以来、最新の科学的知見をまとめた報告書を発行しています。これまでも、人間の活動が温暖化を引き起こしていることは「可能性が高い」とされていましたが、2021年8月に公表された最新の第6次評価報告書では「疑う余地がない」と断定されたのです。
複雑な気候変動のメカニズムですが、どんな要因があって、どんな影響があるのか、私たちの暮らしとどんな関係があるのか、まずは知ることが大切です。
\IPCC 執筆者インタビュー 2023年9月追加! /
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温暖化の原因
温暖化をもたらす原因は、大気中の温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、一酸化炭素、フロン類)の増加です。二酸化炭素を吸収する機能をもつ森林の破壊も温暖化を加速させる大きな原因となっています。
温室効果ガスの7割以上(日本では9割以上)を占める二酸化炭素(以下「CO2」)の主な発生原因が化石燃料(石炭、石油、天然ガスなど)の燃焼、つまり「エネルギーの消費」です。日本は化石燃料への依存度が高いことも大きな課題になっています。
\えっ!牛のげっぷも温暖化の原因!?/
牛・ヒツジ・ヤギ等のげっぷが世界で排出される温室効果ガスの4%を占めていることをご存知ですか? 牛などの反すう動物は胃で餌を分解するときに温室効果ガスである「メタン」を発生させていて、それが約1分間に一回くらいのペースで排出されているのです。そのメタンの温室効果はCO2の約25倍!、そして世界には約15億頭の牛…その影響はあなどれません。最近よく耳にする「ヴィーガン」「ベジタリアン」という食の選択は、温暖化抑制にもつながりそうですね。
「危機」を止められるかどうか、その瀬戸際が「今」
温室効果ガス排出量は未だ増加傾向にあるのが現状です。IPCCは、人類への深刻な被害や影響が出るかどうか境界値とされている「工業化以前からの気温上昇を1.5度」に抑えるためには、世界の温室効果ガス排出量のピークを遅くとも2025年以前にする必要があるとしています。数年後にタイムリミットが迫る今、すぐ行動をしないと間に合わないということです。
工業化前の水準から今ではすでに約1.1度気温は上昇しており、あと+0.4度以内に留めることができるかどうか!?の瀬戸際にきているのです。
人間の行動が引き起こした温暖化であれば、私たち自身の行動が変われば止められる!と思いませんか?
どうすれば温暖化を止められるか?
大気中の温室効果ガスを減らすことに尽きますが、その方法は多岐に渡ります。森林や土壌等のこれを吸収してくれる環境を改善することも緩和につながります。
日本は、2021年時点で1人当たりのCO2排出量が世界でワースト3位。政府は2020年10月に「2050年に完全なカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出を実質的にゼロにする:排出量-吸収量をゼロ)、脱炭素社会を実現することを目指す」と宣言しましたが、残念ながら不十分な点も多く世界からの評価は低いのが現状です。
私たちができることもたくさんありますが、まずは温暖化のメカニズムやその影響を知り、理解することが第一歩です。SDGs(持続可能な開発目標)と同じように、市民一人ひとりが小さくても行動を起こすことで大きな変化をもたらします。
オフィスや家庭など日々の暮らしでできる具体例として、
- 気候変動について科学的に理解する(これが難しい!><でも重要なのです)
- 省エネの徹底(無駄なエネルギー消費を削減)
- 電気をCO2排出のない再生可能エネルギーに切り替える(電力会社の契約見直し、太陽光・風力・水力発電の導入など)
- 使い捨て製品の利用を減らし、資源の消費やごみを減らす
- 交通手段を見直し、CO2排出が少ないものを選ぶ
- 地産地消を進めたり、食品ロスを減らすなど、食を見直す
- 購入品の原材料や原産地をしっかり確認する
\ どこから、どうやって来たの? を考えてみよう/
例えば「今日のランチに食べたもの」
その原材料のひとつひとつは、どこで、どんなふうに育って、誰の手を介して、どれだけの旅をして、あなたの口まで運ばれたでしょうか? その全ての過程でどれだけのエネルギーを使っていて、どのくらい温室効果ガスを排出しているでしょうか?
遠い他国からの輸入品であれば、その運送だけでも多くのCO2を排出していることが分かります。工場等で製品化されたものであれば、その工場でもエネルギーを使っています。
私たちの活動
地球・人間環境フォーラムでは、IPCC 第2作業部会(WG2)の国内支援事務局を長期にわたり担ってきているほか、気候変動問題に関する普及啓発活動を行っています。
また、気候変動対策にもつながる活動として、ごみ削減・脱プラスチックを目指す2R(リデュース・リユース)の取り組みや、森林を守るためのフェアウッドの普及活動にも積極的に取り組んでいます。
作成日:2022年09月13日 10時50分
更新日:2024年11月25日 12時09分