FPICガイドライン【最終版】の公表 ~森林開発・保全プロジェクトに不可欠なセーフガードツールとして
地球・人間環境フォーラムと熱帯林行動ネットワーク(JATAN)は、REDD+プロジェクトのためのFPICガイドライン(最終版)を公開しました。
FPICとは、「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」を指し、森林開発や保全の場面で大きな課題となる土地利用をめぐる権利と密接に関係する考え方です。先住民族が暮らしや文化を保っていく際に不可欠な権利として国際人権法の主要な原則とみなされており、先住民族のみならず森林に頼って暮らす地域住民にとっても重要なコンセプトといえます。
気候変動緩和と生物多様性保全の両方を実現する対策として期待が高まるREDD+については、森林に生計手段等を依存して暮らす先住民族や地域コミュニティに対して大きな影響を与えることが懸念されています。このような懸念に対応するためセーフガード対策についての国際的議論が進んでいますが、FPICはその中心の要素となっています。
本ガイドラインは、REDD+事業に関心をもつ日本の企業・組織をメインのターゲットとしたもので、FPICを得るためにどのように取り組めばよいかを時系列の8つのステップで示しています。
REDD+をはじめとする森林関連のプロジェクトを実施される方々のみならず、サプライチェーンにおける先住民族や地域住民への人権配慮に関心をお持ちの企業の方々にも参考にしていただきたいと考えています。
ガイドラインのダウンロード
REDD+プロジェクト実施における「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)取得のためのガイドライン【日本語版】(PDF)(2015年3月)
ガイドラインには英語版もあります。
Guidelines for Obtaining Free, Prior and Informed Consent (FPIC) in implementation of REDD+ Projects (PDF)
関連情報
- 2015年2月にセミナー「先住民族・地域コミュニティの人権を尊重するということ~森林・開発分野でのFPIC実践をめぐって」を開催しました。
国際人権法の動向、森林での開発の現場に詳しい講師から、森林に生計を依存する先住民族・地域コミュニティの人権を尊重するということの具体的な内容とFPICについて、わかりやすく解説しました。
※講演映像および資料をご覧いただけます。 - 「海外の森林と林業」92号(2015年1月)に「REDDプラスプロジェクトのためのFPICガイドライン -社会セーフガード実施のためのツール-」として掲載されました。
作成日:2015年03月31日 16時17分
更新日:2023年04月26日 17時08分