2005年度(平成17年度)我が国ODA及び民間海外事業における環境社会配慮強化調査業務

平成17年度 我が国ODA及び民間海外事業における環境社会配慮強化調査業務

Part1 開発途上地域における企業の社会的責任CSR in Asia
Part2 開発金融機関等の環境社会配慮に関する調査

本報告書について
報告書全体のダウンロード (PDF版 910KB)

<目次>
Part 1 開発途上地域における企業の社会的責任 CSR in Asia
1.2005年度の企業の社会的責任(CSR)をめぐる国内外の動向
1.1 日本国内のCSRは実践の段階へ
1.2 社会側面でもリーダーシップ求められるアジアの日系企業
1.3 日米欧ともにCSRの浸透進んだ2005年度
1.4 日本国内の動向
1.5 国際的な動向

2.2005年度のCSRをめぐるアジア諸国の動向~大変化を遂げた中国を中心に
2.1 2005年は中国のCSR元年。政府もCSR推進に積極的
2.2 CSRに熱い視線を投げかけはじめたアジア各国政府
2.3 インドネシアでは環境パフォーマンスで企業を格付け
2.4 アジア諸国政府は、CSRを自国の福祉を底上げするためのツールと考えはじめている

3.タイ、インドネシアにおけるCSRの現状とその背景
3.1 タイにおけるCSRの現状とその背景
3.2 インドネシアにおけるCSRの現状とその背景

4.事例 29
【タイ】
事例 1 ダイキンインダストリーズタイランド:「品質・環境・安全衛生No.1」への挑戦
事例 2 松田産業タイランド:貴金属リサイクルのパイオニア
事例 3 ワンダー・ワールド:廃材の有効活用と世界基準の安全・安心
事例 4 ソンブーン・グループ:地域に密着した企業市民活動
事例 5 サイアム旭テクノグラス :リサイクルと製造の国際拠点、国境を越えるブラウン管リサイクルに着手
事例 6 タイブリヂストン:社会のニーズを重視した社会貢献活動

【インドネシア】
事例 7 東ジャカルタ工業団地(EJIP):環境保全、コミュニティ支援などを通して地域社会との良好な関係づくりを進める
事例 8 アストラ・インターナショナル :グループ企業とともに積極的な環境社会配慮に取り組む
事例 9 スミラバーインドネシア:短期間にゼロエミッションを達成
事例 10 インドネシア・エプソン・インダストリー :本業の内・外において、地に足のついたCSRを推進
事例 11 ユニリーバ ・インドネシア CSRを経営戦略ツールと位置づけて多面的に実施
事例 12 ニューモント・ヌサ・テンガラ:鉱山操業の環境管理とコミュニティ開発

5.結論と提言
5.1 アジア地域のCSRに関する特徴的な動向
5.2 日系企業のCSR展開に向けた提言

Part 2 開発金融機関等の環境社会配慮に関する調査
1.IFCセーフガードポリシーの改定と議論の要点
2.民間金融機関の環境社会配慮の取り組み
2.1 赤道原則
2.2 民間銀行の動き

【添付資料】
国際金融公社(IFC)の社会と環境の持続可能性に関する政策
国際金融公社(IFC)の社会と環境の持続可能性に関するパフォーマンス基準
社会と環境の持続可能性に関するパフォーマンス基準の序文
パフォーマンス基準1: 社会・環境評価および管理システム
パフォーマンス基準2: 労働者と労働環境
パフォーマンス基準3: 汚染防止および削減
パフォーマンス基準4: 地域社会の保健、安全および治安
パフォーマンス基準5: 用地取得と非自発的移転
パフォーマンス基準6: 生物多様性の保全と持続可能な自然資源管理
パフォーマンス基準7: 先住民族
パフォーマンス基準8: 文化遺産
国際金融公社(IFC)の情報公開政策

【本報告書について】

  地球・人間環境フォーラムは、環境省の委託を受け、平成8年度から平成11年度及び平成13年度から平成15年度に開発途上国地域に進出している日系企業の環境対策の支援を目的として、年度毎に順次、フィリピン、インドネシア、タイ、マレーシア、ベトナム、シンガポール及び中国の7ヶ国を対象とした調査を実施し、その成果を国別の環境対策ガイドブックとして取りまとめた。
   近年の企業活動のグローバル化に伴い、開発途上地域、特にアジア地域において活動を展開する日系企業にとっては、これまでの調査で対象としてきた公害対策等従来型の環境問題への対応はもちろんのこと、サプライチェーン管理や市民社会との対話、人権や雇用問題への対応といった幅広い領域を有する企業の社会的責任(CSR)を念頭においた環境配慮の強化が、急速に求められるようになっている。しかしながら、異なる社会的特性を持ち情報も比較的限られているアジア地域の各国において、日本企業が幅広いCSRの要求事項を達成していくことは、実施面で困難が伴うのが実情である。
  このような動向を踏まえ、本調査事業は、前年度に引き続き(1)特にアジア地域において企業が対応を求められるCSRへの対応に係る先進事例等の収集を行い、日系企業等関係者への情報提供を行うとともに、企業の取組を促進するための行政施策の今後の方向性を検討すること(本報告書のPart 1がこれに該当)、(2)開発途上国において実施される開発プロジェクトに資金面から深く関わる金融機関等の環境配慮に関した情報収集・整理(本報告書のPart 2がこれに該当)を通じて、我が国のODA等公的資金による開発事業及び民間海外事業における環境配慮の強化に資することを目的として実施された。
  実施に当たっては、文献調査を行い、さらにタイ、インドネシアにおいて現地ヒアリング調査を実施した。
  調査の結果、グローバル企業の開発途上地域におけるCSR戦略、実践の具体例が多数収集されるとともに、アジア各国におけるCSR促進に向けた力強い動きが明らかになった。本報告書はこれらの動向の概要及び具体例をなるべく多く紹介し、企業及び行政への提言をまとめた。
  一方、国際金融の分野においては、国際金融公社(IFC)が、最近その環境社会配慮政策(セーフガードポリシー)の見直しを行った。赤道原則や民間金融機関の環境社会配慮方針に大きな影響を与えるIFCのセーフガードポリシー改定の議論のポイント、経緯、背景などについて情報収集、整理を行った。

調査概要
  本調査は以下のような手法で実施した。
(1) 企業の海外活動におけるCSR対応状況の文献等調査(平成17年11月~12月) 企業が作成・公表している環境報告書等から、アジア地域での企業活動において行っているCSRに関連する取り組みの概略に関する情報を収集し、開発途上地域において事業活動を展開しCSRに関連して顕著な取り組みを行っている日本企業及び欧米資本の企業を抽出した。
(2) タイ、インドネシア調査(平成18年2月~3月) (1)で抽出した企業のうち、タイ、インドネシアにおいて事業活動を展開している企業の事業所または海外関連会社、サプライヤー、行政・企業関連機関、CSRに関連するNGO/NPOへのヒアリングを行い、地域レベルでの取り組みの実状、現地の環境規制動向や社会状況など取り組みに影響を及ぼしている要因、取り組みの継続・発展に向けた課題、行政に期待したい役割・施策の方向性に関する意見を聴取した。
(3) 国際金融公社(IFC)環境社会配慮政策(セーフガードポリシー)に関する文献、聴き取り調査(平成17年11月~平成18年3月) 国際金融公社(IFC)のセーフガードポリシーについて、改定にあたっての議論のポイント、経緯、背景などについて情報収集・整理を行った。
(4) 民間銀行に関する文献、聴き取り調査(平成17年11月~平成18年3月)
民間金融機関等における開発途上国向けの融資等に関する環境社会配慮の仕組みや取り組み事例を収集した。

調査期間
平成17年11月~平成18年3月

調査チーム
中寺 良栄 (財)地球・人間環境フォーラム企画調査部長 全体総括、タイ
Part 1 開発途上地域における企業の社会的責任  CSR in Asia
  満田 夏花    同上    主任研究員 インドネシア
  足立 直樹    同上    客員研究員 タイ
  清水 規子    同上    客員研究員 インドネシア
Part 2 開発金融機関における環境社会配慮実施確保に係る課題
  満田 夏花    同上    主任研究員 民間金融機関
  神崎 尚美    同上    客員研究員 IFCセーフガードポリシー
  清水 規子    同上    客員研究員 IFCセーフガードポリシー

翻訳協力:池田愛美、中村博子、波多江秀枝、福田健治、富佐マクリン

作成日:2016年11月16日 11時17分
更新日:2017年02月16日 22時59分