日系企業の環境対策(1996~2003年度)
経済のグローバル化に伴って、アジア地域を中心に多数の日系企業が海外進出を果たし、積極的な経済活動を行っていますが、その一方で、これらの日系企業には進出先国・地域ですぐれた環境保全対策を実施することが求められています。
ところが、開発途上地域がほとんどであるアジア地域においては、環境行政組織や環境法体系の不備、情報伝達方法の未整備、環境対策関連インフラ整備の遅れなど、日系企業がすぐれた環境保全対策を進めようとする場合、多くの課題が立ちはだかってきます。また、言語の問題などもあって、日系企業が最新の環境法規制情報や環境対策に必ず必要となる廃棄物処理や排水処理に関するさまざまな情報を入手することも難しいことが多いといえます。このため日系企業からは日本政府に対して、「進出先国の環境に関する情報提供(マニュアルの作成)」を望む声が多く寄せられていました。
地球・人間環境フォーラムでは、環境省からの依頼を受けて1996年度から2003年度にかけて、アジア地域にすでに進出、または今後進出しようとする日系企業の環境保全対策支援を目的に、日系企業がすぐれた環境配慮や環境保全対策に取り組む際に必要となる各種の情報を、現地ヒアリング調査を中心に収集・整理し、国別の環境対策ガイドブックとしてまとめ、日系企業に提供する事業を実施しました。これまでにガイドブック作成の対象となったのは、フィリピン、インドネシア、タイ、マレーシア、ベトナム、シンガポール、中国(北京・天津)の7ヵ国・地域です。
各国における現地調査においては、それぞれの国の環境行政機関やすでに進出している多数の日系企業におけるヒアリング、調査対象国の経済団体や日本人商工会議所等との意見交換などを通じて、最新の環境法規制情報や環境対策関連インフラ整備に関する情報、既進出日系企業の先進的な環境配慮への取り組み事例などを収集し、その成果をガイドブックに盛り込みました。また、主要な環境法令については、可能な限り日本語に翻訳してガイドブックに収録しています。
なお、中国版を除いては、現地スタッフの教育にも活用できるように、日本語によるガイドブックをそのまま翻訳した英語版ガイドブックも作成し、日系企業に提供しています。各国別の日系企業向け環境対策ガイドブックは、環境省のホームページに掲載されています。
作成日:2016年06月13日 12時22分
更新日:2017年02月16日 23時04分