2R(リデュース・リユース)の取り組み
循環型社会を築くためには、廃棄物のリデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)という「3R」の取り組みが重要ですが、その中でもリデュース・リユースの「2R」が特に大切です。
◆リサイクルより、リデュース・リユースが優先されるべき理由
家庭から出るごみの6割以上(容積比)は容器包装に関するごみです(※1)。その中でもプラスチック製容器包装が大半を占めています。これまで世界で廃棄されたプラスチックのうち、材料として再生されたのはわずか9%程度(※2)です。日本での廃プラスチックの有効利用率は87%とされていますが、うち62%は「サーマルリサイクル」という燃やした際に熱を回収する方法のため、リサイクルといっても大部分が焼却されています(※3)。そのため、他国ではサーマルリサイクルを”リサイクル”に含めないのが一般的です(※4)。
プラスチック製容器包装を資源として回収しても、大半は燃やされており、モノからモノに再生される「マテリアルリサイクル」は2割程度に満たず、しかもその大半が海外に輸出されています。風などで飛ばされて街中から川へ、さらに海へと流れ出ると、海洋を漂って汚染し、生態系に悪影響を及ぼすなどさまざまな問題を引き起こします。
◆リサイクルだけでは使い捨て社会は変わらない
そもそも化石燃料を原料とするプラスチックは製造、流通、廃棄、リサイクルする場合も含めてライフサイクル全体で温室効果ガスを排出し、気候変動にも影響を及ぼします。近年、プラスチックごみの対策として代替素材へ転換する動きもありますが、使い捨て容器を別の素材に切り替えても大量の資源を一瞬で消費・廃棄することは同じで、「使い捨て」の社会は変わりません。
循環型社会を形成するには、リデュース・リユースの取り組みが急務になっています。
◆リユースの地域内循環が理想
現代の大量の資源を使って大量にモノを生産・消費するという一方通行型の経済社会活動(リニアエコノミー)は大量の廃棄物を生み出すとともに、気候変動の問題、資源の枯渇、大規模な資源採取による生物多様性の破壊などさまざまな環境問題にも影響を及ぼしています。「使い捨て」から「リユース」への象徴的な活動として、地球・人間環境フォーラムでは、リユース食器の普及を進めています。
使い捨て容器は、大量に調達して、短期間に消費し、廃棄物として処理するという一方通行型の経済社会活動になります。使い捨て容器を地域外から調達する場合、購入する度にお金が出ていく一方、大量に残る廃棄物とその処理コストがかかり続けます。そのコストは税金で賄われています。
リユース容器は使用した容器を回収して洗浄し、再使用するという循環を繰り返します。洗浄施設で新たな雇用が生まれる一方、廃棄物が大幅に減少し、処理コストを抑えられる可能性があります。温室効果ガスの排出も抑制され、気候変動にも寄与する取り組みです。
リユース容器はお祭りなどの単発のイベントをはじめ、オフィスなどの日常的な場面で利用されています。コロナ禍を経て、変容したワーク・ライフスタイルにより急増したテイクアウトやデリバリーなどにもリユース容器のシェアリングサービスが広がっています。さらに、リユース容器をマイ食器・マイカップとして活用したり、詰め替え販売の容器として利用されるなどさまざまな運用も行われています。
地球・人間環境フォーラムでは、リユース容器の普及に関するさまざまな活動を通じて、街中やイベント会場など地域の中で、リユース容器が当たり前に使用される持続可能な循環型の社会を目指しています。
◆地球・人間環境フォーラムの取り組み
当フォーラムでは、2002年度の「NGO/NPO・企業環境政策提言フォーラム(環境省主催)」において、ドイツのサッカー場などで先進的に導入されていたリユースカップの日本への導入を提言し、優秀提言に選ばれました。以来、環境省の委託を受けてリユースカップ・リユース食器の普及・促進に取り組みを開始し、これまでにサッカー場、野外音楽イベント、地域のお祭りなど、さまざま場所で導入が進むリユース食器の実施利用に関する調査などを行ってきました。
「使い捨て」から「リユース」へ、循環型の社会の形成に向けて、リユース食器の普及を進めています。また、リユース食器の普及に努める団体のネットワーク組織として2005年に設立した「リユース食器ネットワーク」には、全国各地のNPOや企業等が加入し、脱・使い捨てに挑戦しています。
※1 環境省「容器包装廃棄物の使用・排出実態調査の概要(令和5年度)」
https://www.env.go.jp/recycle/yoki/c_2_research/research_R05.html
※2 UNEP Single-Use Plastics: A Roadmap for Sustainability (2018)
https://www.unep.org/ietc/ja/node/53
※3 プラスチック循環利用協会「プラスチックリサイクルの基礎知識2024」
https://www.pwmi.or.jp/pdf/panf1.pdf
※4 UNEP 「Globa Waste Management Outlook 2024」Glossary
https://wedocs.unep.org/bitstream/handle/20.500.11822/44939/global_waste_management_outlook_2024.pdf
作成日:2017年02月01日 12時25分
更新日:2024年11月20日 09時56分