【6/28(金)開催】オンラインセミナー「韓国のバイオマス発電の現状と日本への示唆~気候NGOからの報告」

2024年06月17日イベント

日本では「再生可能エネルギー固定価格買取制度」(FIT)により2012年以降支援され、急速に拡大したバイオマス発電。石炭よりも多いとされるバイオマス燃焼によるCO2排出をゼロと見なし、石炭バイオマス混焼発電へもFIT認定がされるなど、気候変動への「誤った対策」として大きな問題になっています。また、海外からの燃料輸入も急増し、燃料生産地の森林・生態系に大きな影響を与えています。

韓国の産業通商資源部(MOTIE)の政策でも、「再生可能エネルギー証書(REC)」によって、バイオマス発電に対して太陽光や風力よりも大きな補助金が出されています。2012年の制度開始から10年間でバイオマス発電による発電量が42倍に増加。燃料の多くを東南アジア、カナダ、ロシアなどからの輸入に頼っています。

一方韓国では、石炭火力を延命させる石炭バイオマス混焼やバイオマス燃料生産のための国内の森林破壊について市民や政策決定者の問題意識が向上したことで、既存の国営の石炭バイオマス混焼発電所への補助金の削減、新規の混焼発電所への補助金停止などの政策変更が行われるなど、変化の兆しも見られます。

SFOCレポート『補助金による森林減少』

しかし、既存の民間発電所に対する高いRECの重み付けは、依然として石炭バイオマス混焼の延命につながっています。また、政府が国産材の利用拡大に力を入れた結果、バイオマス専焼の発電所に対する補助金は過去最高額となっています。

韓国の気候NGO Solutions for Our Climate SFOC)はこれまでに、RECにバイオマスを含めることの妥当性、補助金の過剰な重み付け、燃焼によるCO2排出を除外することの問題を問う違憲審査・行政訴訟に関わっています。今年の春には、68の国内外の気候・環境団体と協力して、「再生可能エネルギー証書」(今年、改訂予定)からバイオマスへの補助金を除外する提言も出しています。

 

このセミナーではSFOCHansae Song氏に、最新のレポート『補助金による森林減少』(原題 “Subsidized Deforestation”)の要点を共有いただきます。韓国におけるバイオマス発電の拡大とそれを支える政策の現状、海外の燃料生産地・森林に与えているインパクト、今後の政策の見通しや変化を起こすための戦略を紹介いただき、同様の課題を抱える日本の政策の在り方をどのように変えていくべきかを考えます。

日時

2024年6月28日(金)15:30-17:30

開催方法

オンライン(Zoomウェビナー)

参加費

無料

お申し込みフォーム

https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_GZPz_9JwRDqzFx5tp_EkAA

プログラム

・講演:Hansae Song氏(Solutions for Our Climate)

「補助金による森林破壊:韓国における森林バイオマス発電の概要」

240628_Hansae Song Presentation_JPN

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コメント:泊みゆき氏(NPO法人・バイオマス産業社会ネットワーク)

・質疑応答

※日英逐次通訳付き

講演者プロフィール

Hansae Song氏(Solutions for Our Climate 森林・土地利用プログラム、プログラム・リード)

SFOCの森林・土地利用イニシアチブを率い、持続不可能なバイオエネルギーの段階的廃止と森林保全の支援に注力している。国連環境計画や外務省での経験を生かし、韓国における高炭素の森林バイオマス発電や作物由来のバイオ燃料の削減に取り組んできた。また、森林リスクのある商品のサプライチェーンに関する対話の形成や、東南アジアにおける韓国企業による森林伐採の監視などにも携わる。アラスカ大学フェアバンクス校で野生生物学と自然保護を学び、現在は米国アラスカ州在住。

Solutions for Our Climate(SFOC)の紹介

Solutions for Our ClimateSFOC)は、世界の温室効果ガス排出削減とエネルギー転換を加速するために活動する独立の非営利団体である。SFOCは調査、訴訟、コミュニティ・オーガナイジング、戦略的コミュニケーションの力を生かして、実践的な気候変動解決策を提供し、変革のための運動を構築している。

主催・お問合せ

一般財団法人 地球・人間環境フォーラム (担当:鈴嶋・飯沼、E-mailevent[a]gef.or.jp

協力

ウータン・森と生活を考える会、バイオマス産業社会ネットワーク