5/27(月)開催世界的ベストセラー「マザーツリー」著者来日!
カナダの森の叡智を紐解く 気候と生態系を守る森を燃やすバイオマス発電は「再エネ」なのか?
2024年04月18日お知らせ
カナダ・ブリティッシュコロンビア(BC)州の森林は、巨⽊がそびえ、膨大な炭素を蓄積し、森林トナカイやハイイログマなどの⼤型哺乳類が生息する生物多様性豊かな地域です。
気候変動や生物多様性の危機を回避するために、この地の森林の保全は極めて重要です。
しかし、同州の原⽣林や天然林は、⼤⾯積の伐採や近年続く⼭⽕事により、急速に劣化しています。皆伐と⽕災に弱い針葉樹のみの植林など、同地の森林施業にも原因があると指摘されています。
この度、昨年1月に邦訳された世界的ベストセラー『マザーツリー 森に隠された「知性」をめぐる冒険』の著者スザンヌ・シマ―ド⽒が来日し、研究成果を踏まえて、BC州の森林⽣態系の状況とその価値についてご講演いただきます。
⼀⽅、⽇本では再⽣可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の支援の下、BC州から⽊質ペレットを輸⼊し、バイオマス発電の燃料として燃やしています。
私たちの再エネがカナダの森林に依存しているのです。
セミナーでは、シマード氏の研究イニシアチブ(マザーツリー・ネットワーク)のアドバイザー、レイチェル・ホルト氏に、現地の森林政策や⽊質ペレットの持続可能性の課題についてもお話しいただきます。
森の木々が巨大なネットワークを持ちコミュニケーションしていることを明らかにした革新的な研究に学び、BC州の貴重な森林を守り気候と生態系の危機を回避するために、私たち日本の市民や企業、政府にどのような行動が求められるのかを考えます。
ぜひご参加ください。
アーカイブ動画
講演要約
※日本語字幕の見方:Youtube画面右下の「字幕(c)」をオンにして、設定で「日本語」を選択してご覧ください。
*To turn on English Captions, click (CC) on the bottom right of the Youtube screen. Click the gear icon and choose English.
※本セミナーに関するメディア掲載記事:こちらをご覧ください。
※講演内容は、当財団の月刊環境情報誌『グローバルネット』7月号でも公開しています。
日時
2024年5月27(月)15:30-17:30(対面開場は15:00、オンライン開場15:25)
開催方法
対面とオンラインのハイブリッド形式
- 対面参加:聖心女子大学 ブリット記念ホール(同大学4号館・聖心グローバルプラザ3階)
〒150-0012 東京都渋谷区広尾4-2-24(東京メトロ日比谷線広尾駅 4番出口から徒歩1分)
- オンライン参加:Zoomウェビナー
参加費
無料
お申込みフォーム
お申し込みは締め切りました。開催後にアーカイブ録画を公開する予定ですので、そちらをご覧ください。(2024年5月27日更新)
プログラム
- 趣旨説明 カナダの原生林と日本のバイオマス発電(地球・人間環境フォーラム 鈴嶋 克太)
- 講演①スザンヌ・シマード氏「ブリティッシュコロンビア州の森林:マザーツリー、生物多様性、炭素」
- 講演②レイチェル・ホルト氏 「ブリティッシュコロンビア産バイオマス:持続可能性の評価」
- コメント:中静 透 氏(東北大学名誉教授)
- 質疑応答
※日英同時通訳付き
※タイトルと内容は予告なく変更になる場合があります。
講演者
- スザンヌ・シマード(Suzanne Simard)氏
カナダのブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)で森林生態学の教授を務めるスザンヌ・シマード博士は、マザーツリー・プロジェクト(MTP)やマザーツリー・ネットワーク(MTN)などの複数の革新的な研究イニシアチブを率いる。シマード氏の先駆的な研究は、自身の土地との深いつながりや樹木に囲まれて過ごした時間に支えられており、自然の複雑なつながりの網を深く掘り下げるものである。
MTPは、900kmに渡って気候帯を横断する革新的な実験として有名で、気候が変化する中で、老木の保持が生物多様性の保護、炭素貯蔵、森林再生にどのように役立つかを調査している。このプロジェクトは、シマード氏と同僚が設立したMTN(共同研究者や先住民のパートナーからなるネットワーク)の基盤となっている。このネットワークは、森林を保護し、採取型経済から再生型経済への生態学的移行を加速させることを目指している。
ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー “Finding the Mother Tree: Discovering the Wisdom of the Forest”(邦題『マザーツリー:森に隠された「知性」をめぐる冒険』)の著者であるシマード氏は、樹木が地下の菌類のネットワークを利用してどのように相互作用し、コミュニケーションを図っているかについての研究で世界的に知られている。学生や同僚たちとの研究により、森林には「ハブツリー(マザーツリー)」、すなわち、森林内の資源の流れに重要な役割を果たす、つながりの強い大木が存在することが認識されるようになった。
シマード氏は、分かりやすいサイエンス・コミュニケーションの確固たる旗振り役であり、インタビューやドキュメンタリー映画、そしてTEDトーク“How trees talk to one another”(「木はどのように互いに語り合うのか」)を通じて、世界中の聴衆に自身の研究を伝えてきた。
- レイチェル・ホルト(Rachel Holt)氏
過去30年間、ホルト博士は独立系生態学者として、BC州のネルソンという小さな町を拠点に、シニクスト族、クトゥナクサ族、オカナガン族の未譲渡の領土内、そして広大なBC州全域で活動してきた。主な活動分野は、環境条件と動向の技術的分析であり、技術チームや交渉チームと協力して、大規模で複雑な生態学的・社会政治的な土地利用問題にも取り組んでいる。
イギリスで生まれたホルト氏は1991年にブリティッシュ・コロンビア州に渡り、学問的な教育を受け、同州の景観、森林、生物多様性を深く理解するようになる。これまで、森林生態学と森林管理のさまざまな側面について研究しており、内容は、「老齢林」の指標の定義、森林政策の立案、グレート・ベア・レインフォレスト(BC州太平洋沿岸の温帯雨林)を含む大規模な保全計画、累積的影響評価、気候変動研究への貢献などにわたる。
特に、ホルト氏はBC州の老齢林の状況に関する最新の研究を執筆し、BC州における生産性の高い老齢林の残存レベルが極めて低いことを明らかにした。ホルト氏は、州の林業監視機関である「森林施業委員会」の副委員長を務め、ブルーベリー・リバー先住民の条約上の権利に関する最高裁裁判では、専門家として証言を行った。さらに、2022年には、老齢林に関する州大臣技術諮問委員会の委員に任命された。
ホルト氏の、透明性が高く科学的に健全な土地管理手法の推進への献身は、彼女のコンサルタント会社であるVeridian Ecological Consulting Ltd.に表れている。ホルト氏の包括的な使命は、生態系本来の価値を総合的に考慮した意思決定プロセスを促進することである。次世代に健全に機能する生態系を残すことに情熱を注ぐホルト氏は、環境スチュワードシップと管理に対する総体的なアプローチを精力的に提唱している。
主催・お問合せ
一般財団法人 地球・人間環境フォーラム (担当:鈴嶋・飯沼、E-mail:event[a]gef.or.jp)
共催
Mighty Earth
協力
聖心女子大学グローバル共生研究所、ウータン・森と生活を考える会、バイオマス産業社会ネットワーク(BIN)、熱帯林行動ネットワーク(JATAN)、プランテーション・ウォッチ
助成
国土緑化推進機構 緑と水の森林ファンド