砂漠化が最も深刻な問題となっているのがアフリカです。世界の耕作可能な乾燥地における砂漠化地域の割合を見ると、その約3割がアフリカで(UNEP, 1991)で、アフリカ大陸のほぼ3分の2が砂漠または乾燥地であり、この乾燥地における耕作地の4分の3がある程度の土地荒廃の影響をうけています。多くのアフリカ諸国は、深刻な干ばつにしばしば見まわれ、人々は生存のために自然資源の過剰採取を行わざるを得ないという悪循環が見られます。
砂漠化問題の要因としては、過放牧、過耕作、薪炭材の過剰採取などがあげられますが、この背景として、貧困、人口増大、人口移動、食糧問題などがあります。貧しい農民にとっては過剰耕作を行うという以外の選択肢はなく、土地がだんだんやせてくると、別の土地に移動していきます。
「現場からの報告〜チャド、ブルキナファソ」を見る
砂漠化対処条約では、アフリカ地域のための地域実施附属書を定めており、ここで提案されているアフリカ諸国に対する国家行動計画の策定は、アフリカに対する砂漠化防止の緊急決議として、条約自体の発効(1996)よりも2年以上も早く採択されています。
国家行動計画では、砂漠化問題に関する意識啓発、幅広い参加と合意形成が重視されており、すでに30程度の国々が幅広く関係者を集め、砂漠化対処条約およびその趣旨などを議論するためのナショナル・セミナーを開催しています。
国家行動計画案が作成される際には、すべての関係者の間での協議が必要とされます。このため多くの国々では、調整機関を立ち上げたり、フォーカルポイントを設置したりしています。特にNGOの参加は重要で、行動計画の効果的な実施のかぎを握っています。
1999年11月に行われる締約国会議ではアフリカ諸国の国家行動計画の策定状況・実施状況が報告される予定で、現在条約事務局に多くのレポートが提出されています。
また、小地域(subregion)レベルでは、北アフリカではアラブ・マグレブ連合が、西アフリカではサヘル諸国干ばつ対策委員会(CLISS; the Permanent Inter-State Committee for Drought Control in the Sahel)が、東アフリカではIGAD(Intergovernmental Authority on Development)が、南アフリカではSADC(the Southern African Development Community)がそれぞれ各地域における行動計画についての調整機関となっていて、国家間の協力の要となっています。
アフリカ地域全体でも、OAU(Organization of African Unity)、アフリカ開発銀行により、地域調整機関が機能しています。1997年3月には砂漠化対処条約実施全アフリカ会議がブルキナファソで開催され、7つのテーマ別のワークショップの成果をもとに地域行動計画が策定されることが取り決められた。1998年から始まったこれらのワークショップは、
@アグロフォレストリーと土壌保全
A牧草地の使用と飼料農作物
B国際河川、湖、水域の統合管理
C自然資源マッピング・リモートセンシング・早期警報システム
D再生可能・新エネルギー源、技術
E持続可能な農業システム
F環境改善と人材育成
−−がテーマとなっており、これらを促進するためのネットワークづくりが行われています。