環境ガイドライン研究会資料:
環境アセスメントのエレメントと本行の環境ガイドラインにおいて要求・関与するべき事項の検討(案)
平成12年12月18日
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国際金融等業務 |
海外経済協力業務 |
関連する論点等 |
環境配慮の開始時期 ・ 借入人に対し早期の環境配慮等促す |
・ 本行へのファイナンス要請は特に輸出信用や投資金融の場合、プロジェクトが固まった後、入札手続開始直前あるいは終了後に行われるのが一般的であり、早期からの関与には限界がある。 ・ 本行の要求事項を明確にすることにより、借入人がこれを予め満たすような記述は望ましい。 |
・同左 |
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スクリーニング ・ 早期段階で借入人と協議する必要あり ・ ODAでは年次協議等で協議 |
・ 環境影響が大きいと予想される案件についてはできるだけ前広に相談することは有益。ただし正式な融資要請がなされない段階での協議には限界あり。 |
・ 年次国の場合現在でもF/F等年次協議に先立ちより早い段階で助言していることが多い。 ・ 協議する場として年次協議等フォーマルな会合である必要はないか。 |
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スコーピング ・ 両業務のチェック項目の整合性 ・ 地球環境、有害物質等の影響項目の明示 |
・ チェック項目については大きな乖離はない。 ・ 影響項目についてはOECD輸出信用保証部会(ECG)会合での議論にも留意要。 |
・ 同左 ・ DACのガイドラインにも留意要。 |
・ 地球環境、派生的影響、累積影響等はその評価がむつかしいこともあり、途上国にどこまで求めるのか? |
関係者(住民含む)との協議 ・ 借入人/相手国に関係者との協議を求める ・ 関係者をNGO等広くとらえる ・ 環境アセスメント報告書の公開を条件 ・ 協議や公開の頻度等具体的に求める |
・ 可能な限り幅広い協議は有益なるも、特に輸出信用や投資金融については特定企業に係る情報の守秘義務の観点もあり、協議先や情報提供先としてどこまで含めるべきか留意要。 ・ 環境アセスメントの公開については、相手国国内政策・制度の尊重と、ECG会合メンバー間における競争条件平準化の必要性の双方から検討要。 |
・ 可能な限り幅広い協議は有益なるも、協議先や情報提供先としてどこまで含めるべきか留意要。 ・ 現在は環境アセスメントの公開を促進(「望ましい」と規定)しているが、国によって公開方法等が様々で統一化が困難。 |
・ 関係者の特定がなされるべき旨言及するか? ・ 法的権利を有しないグループ(不法住民等)は関係者に含まれるか? ・ 「公開/協議」として説明会、意見聴衆、公聴会、協議、合意と様々な形態/レベルのどこまでを求めるのか? ・ 関係者との協議等を融資者としてどのように促進するのか? ・ 外部情報入手チャネルを通じたリスク回避についてどう考えるか? |
予測評価 ・ 独自基準導入 ・ 国際基準の適用(既存の資料名への言及) ・ 社会影響にかかる基準 |
・ 現行のガイドラインでは、現地基準が国際的基準や我が国の基準から著しく乖離している場合や、現地基準が確立していない場合は、国際的基準や我が国の基準を参照することとしているところ、独自基準は必ずしも必要ではないのではないか。 ・ 途上国の技術水準、費用効果等により、現地にとってより現実的な基準が望ましいという考えもある。 ・ 独自基準についてはECG会合での議論にも留意要。 ・ 社会環境に関しては、現在は「何らかの問題が生じた場合は配慮の適切性について国際的に認知されている考え方・手法を参考にしつつ確認する」としている。 |
・ 同左 ・ 社会環境にかかる基準については確たるものを明記することが困難。むしろ国際的に認知されているものを参考とするのが現実的か |
・ 現地基準とする場合の問題点は? |
対策の立案・計画のフィードバック ・ 借入人に対する環境対策の考え方提示 ・ 環境管理計画の確実な実施確保 |
・ 環境対策をより確実に実施すべきことを明確に伝える必要性は高いと思料。 ・ 当該国の環境アセスメント制度において対策の立案・計画が義務付けられていることが多く、アセスメントの内容確認の一環で対応している。そのうえで必要に応じて環境管理計画等を徴求し、モニタリングでフォローしている。 |
・ 同左 ・ 環境対策を確実に実施するという観点からは環境管理計画は重要であるが、むしろ対策の具体的内容、実施体制、スケジュール等を明記すべきことを示す方が良いか |
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情報公開 ・ (関係者との協議に同じ) |
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文書化 ・ 要求する文書の内容等の条件付け ・ 情報公開等への配慮 |
・ 借入国の環境政策に係る主権を尊重する観点から、EIAの内容等を条件付けることは適切でないものの、「望ましい形」を示すことは可能か。 ・ ECG会合における議論にも留意要。 |
・ 同左 |
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環境所管機関の承認等 ・ 独立した環境専門家/環境所管官庁の関与にかかる本行の要請 ・ 第3者機関の活用のケース |
・ 本行は現地の環境制度に則った手続きを確認しているが、通常当該国の環境アセスメント制度手続きにおいて環境所管庁等が意思決定に関与していることが多い。 ・ 必要に応じて第三者等の専門家の関与を求めている。 |
・同左 |
・ 国によっては環境影響が小さい事業では環境所管機関が関与しない(当該国でEIA不要の場合)ところもある。 |
計画決定への反映 ・ 計画内容への環境配慮結果反映の確認 ・ 借入国での所要手続きにおける環境所管機関が意思決定に関与することの確認 |
・ 環境配慮にかかる環境所管官庁のコメントが最終的に計画に反映され、かつ実施されるよう明記することは重要。 ・ 借入国の所要手続きにおける環境所管機関の関与については各国様々である点留意。 |
・ 同左 ・ 同左 |
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事後モニタリング ・モニタリングの要件と方法 |
・ EIAの承認に当たり現地環境当局から義務付けられているモニタリング項目については現地の環境制度に則り実施されていることを確認している。 ・ 現地の環境制度以外の事項について対応を求める場合には、その実施を確保するため契約上等での配慮が必要。 |
・ モニタリングの要件等については明記することは望ましいか |
・ 環境モニタリングの主体は一義的に借入人であることに留意。融資者として必要なモニタリング情報とは何か? |
融資機関による支援 ・ 本行の支援方策 ・ 業務形態による支援の相違 |
・ ガイドラインに支援策を明記するとすれば「できること」を具体的に記述する必要があるが、現行そのような支援ツールがない。新設するとすれば予算や人材の確保要。 ・ また、本行がプロジェクトへ関与しうる段階に鑑みれば、「できること」はどの程度あるのか疑問。 |
・ 総論(政策)部分で言及することは可能か。ただし、過度に支援の期待を持たせることは必ずしも望ましくない場合もあることに留意 |
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その他 ・既存アセスメントの扱い |
・ 現地制度に基づく環境アセスメントを尊重。追加措置が必要な場合は協議のうえ別途実施を求めることがある。 |
・ 同左 ・ 世銀は案件形成の最初から関与し、かつ独自の環境アセスメント規定があるため既存のアセスメントを見直す。円借款ではSAPROFを活用して対応する場合もあるが、限定的とならざるを得ないか。 |
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