■大賞(環境大臣賞) |
◆社団法人公共広告機構 『しっているを、しているへ。』 |
環境問題を改善するために必要なのは一人でも多くの人の環境行動。「しっているのに、しない人」は、「しらないから、しない人」と結果は同じこと。正にこのCMのコピーにあるように、「しっている」を「している」にしなければ意味がない。このことを一人でも多くの人にしってもらうためには、テレビというメディアは最適である。しかし、このようなテレビCMを一般企業に求めることは難しい。公共広告機構ならではのテレビCMといえる。今後も、公共広告機構でなくてはできない、一人でも多くの人の環境行動を喚起するCMに期待したい。 |
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■優秀賞(地球・人間環境フォーラム理事長賞) |
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◆株式会社ジャパンエナジー 『油化リサイクル』 |
毎日山のように出てくるプラスチックごみ。現代社会の厄介者のプラスチックを東京都は燃やして熱回収するといい、区民は大混乱。資源貧国ニッポンのMOTTAINAIはどこに行ったのか。『私たちは資源を無駄なく活用するためプラスチックを石油に戻す日本初の油化リサイクル』というコピーが真実なら、こんなに嬉しいことはない。何十年もかかって身に付けた庶民の分別習慣を煙に巻いていい道理はない。『ゴミをゴミのままにしない』という日本人の当たり前の感性を、技術と生活習慣に結びつけた環境CMの秀作である。 |
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◆シャープ株式会社 『「イギリス・環境庁」篇』 |
地球環境問題の解決のためには環境保護に貢献したいと考えることと、実際に環境保護のために貢献することとのあいだのギャップを埋めることが決定的に重要である。本CMの特徴は、この意識と行動との間のギャップを埋めることに注力している点にある。
イギリスの環境庁庁舎の屋根にのっている同社のソーラーパネルが、庁舎周囲の鮮やかな緑とともに映し出され、その映像とともに、吉永小百合の『何かを変えようと呼びかける人は、まず、自らを変えていく』という台詞がひびく。
このメッセージにハッとされられた人も多いはずである。 |
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◆積水ハウス株式会社 『「5本の樹」カブトムシ篇』 |
家という建物だけを売るのでなく、樹木のある庭を提案するという、積水ハウスの「5本の樹」計画は、まさに"健康"と"環境"をセットにしたグッド・アイデアだ。2006年度のグッドデザイン賞も獲得している。そのニュース性と子供の"カブト虫来るの?"の問いに父親のいぶかしげな答えに対し、"大人って夢がないなー"とコメントする子供のセリフが利いている。
ハウジングメーカーの新しい提案の形を感じさせるCMだ。 |
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◆松下電器産業株式会社 『ナショナル「エコアイデア」CMシリーズ』 |
テレビ放送に溢れるCM群の中で、視聴者=消費者に注目させ、環境CMとしてのメッセージを伝えるためには、一定以上の露出量が絶対的に必要だが、同じCMを繰り返し露出しすぎることは、「しつこい」「うるさい」「もう分かったから止めろ」と視聴者に感じさせる逆効果を生む恐れがある。そして、しっかりと筋の通ったシリーズ広告は、その難問を解決する。このナショナルの「エコアイデア」シリーズは、そのことを証明する優れたシリーズだと言える。
他では「売らんかな」のCMを多量に流し、ほんの少しだけ環境CMを流すということでは、そのCMがどんなに優れていようと、いわば免罪符としてのCMでしかないのである。 |
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