第11回環境コミュニケーション大賞

環境報告書部門 受賞一覧
報告書タイトルをクリックすると講評を見ることができます。
 
※(M○)は環境報告マイスター賞受賞企業。Mに続く数字は通算受賞回数を示す。
環境報告大賞(環境大臣賞)  1点

事業所名

報告書タイトル
松下電器産業株式会社(M7) 社会・環境報告 2007/環境データブック 2007
 
持続可能性報告大賞(環境大臣賞)  1点
事業所名
報告書タイトル
トヨタ自動車株式会社(M7) Sustainability Report 2007 〜人、社会、地球の新しい未来へ〜
 
環境報告優秀賞(地球・人間環境フォーラム理事長賞)  7点
事業所名
報告書タイトル
シャープ株式会社 シャープ 環境・社会報告書2007
株式会社西友(M8 西友 サスティナビリティ・レポート2007
積水化学工業株式会社(M4 CSRレポート2007
大栄環境グループ 大栄環境グループ CSR報告書2007
株式会社リコー(M7) リコーグループサステナビリティレポート2007
(環境経営報告書/社会的責任経営報告書/アニュアル・レポート)
株式会社リコー 福井事業所 2007年度 リコー福井事業所 環境報告書
ワタミ株式会社 ふれあい報告書2007(ワタミグループCSR報告書)
 
持続可能性報告優秀賞(地球・人間環境フォーラム理事長賞)  6点
事業所名
報告書タイトル
伊藤忠商事株式会社 伊藤忠商事 CSR Report 2007
株式会社INAX INAX Corporate Report 2007
大和ハウス工業株式会社 大和ハウスグループ CSRレポート2007
東京急行電鉄株式会社 企業の社会的責任報告書2007(CSRレポート)
凸版印刷株式会社 CSRレポート2007(トッパンの社会的責任活動報告)
日産自動車株式会社(M6 サステナビリティレポート2007
 

※環境報告マイスター賞受賞は、(株)西友<通算8回受賞>、(株)リコー<通算7回受賞>、松下電器産業(株)<通算7回受賞>、トヨタ自動車(株)<通算7回受賞>、日産自動車(株)<通算6回受賞>、積水化学工業(株)<通算4回受賞>。

※「環境報告マイスター賞」とは、上記の大賞・優秀賞該当作のうち、過去通算3回以上大賞または優秀賞を受賞している事業者の応募作におくられる賞で、受賞通算回数を示して表彰されます。今回は、6点が受賞しました。

 
優秀賞(環境配慮促進法特定事業者賞) 5点
事業所名
報告書タイトル
独立行政法人宇宙航空研究開発機構 JAXA ECOレポート2007 (社会環境報告(Sustainability Report))
国立大学法人島根大学 島根大学環境報告書2007
国立大学法人信州大学 環境報告書2007−全ての命を育む水−
国立大学法人千葉大学 千葉大学環境報告書2007
国立大学法人東京大学 東京大学環境報告書 2007
 
奨励賞  2点
事業所名
報告書タイトル
シスメックス株式会社 シスメックスあんしんレポート2007
大栄サービス株式会社 CSR報告書2007

第11回環境コミュニケーション大賞 環境報告書部門 講評

環境報告大賞(環境大臣賞)

松下電器産業株式会社 「社会・環境報告 2007/環境データブック 2007」
 環境データブックにおいて、製品の設計から回収、リサイクルにいたる各ライフサイクルでの取組、関連するパフォーマンスデータが網羅的に開示されている。
 主要な環境パフォーマンスデータについては、地域別の内訳を開示したり、指標の算定基準を開示(WEB)するなど、読者の理解を深める努力をしていると評価できる。環境法規制の順守状況についても具体的内容の開示があるとよい。
 報告書の編集にあたっては独自色を出し、読みやすくしていることも評価される。
持続可能性報告大賞(環境大臣賞)
トヨタ自動車株式会社 「Sustainability Report 2007 〜人、社会、地球の新しい未来へ〜」
 環境については、世界全体で取組を進めていこうとする姿勢が随所にみられる。
 情報は網羅的で豊富、グローバルなデータも整備されてきており、従来パターンの報告書として完成度が高い。ただし、報告書としてのストーリー性、構成の面では工夫の余地があろう。また、今後の方向性としては、トヨタとして何を目指しているのか、メッセージ性、マテリアリティを意識した内容を強化していくことが望まれる。
 社会側面についても情報量がかなり豊富で、様々な取組みを多方面に向けて行っていることはよくわかる。
 ただし、情報が総花的に掲載されており、全体としてのメッセージ性の点からは、以前掲載されていたグローバルビジョンの記載がなくたったことなど、トヨタとして総じて何をめざしているのか、が見えづらくなっていることは今後の課題であり、強く期待される点である。
環境報告優秀賞(地球・人間環境フォーラム理事長賞)
 
シャープ株式会社 「シャープ 環境・社会報告書2007」

 「太陽光発電の普及拡大」「商品の環境配慮設計」「工場における環境負荷低減」を通じた持続可能な社会への取組が、トップのコミットメントと合致しており持続可能な社会へ向けた本格的な骨太の体制となっていることが評価できる。すべての製品、工場をグリーンにしていく取組、リサイクルの取組は、目標を掲げ、その進捗状況が読者にもよくわかるようになっていることは信頼性などの点から好ましい。
 天気キャスターとの協働もアピール力があり、今後もよい展開になることが期待される。今後、環境・社会報告書をコミュニケーションツールとして活用していくことが望まれる。

 
株式会社西友 「西友 サスティナビリティ・レポート2007」

 パフォーマンス編とストーリー編の2部構成である。パフォーマンス編はCSRの取り組み目標や実績、今後の展開が詳しく書かれているが、細かいデータの開示を多くするとよい。また、文章とデータのページが違うなど、読みやすさの工夫は必要である。ウォルマートとしての長期目標として1.100%再生可能なエネルギーを利用する、2.廃棄物をゼロにする、3.資源や環境を持続可能にする商品を販売する。という3つの目標をコミットし、その目標に突き進む体制は大いに評価したい。
 ストーリー編は西友従業員のインタビューを掲載しており、従業員が取り組むCSR活動が掲載されており、読み物としては、従業員のCSRに対する意気込みが伝わり面白い。
 両編とも、文字の大きさも小さすぎるので、読みづらいのが残念である。

 
積水化学工業株式会社 「CSRレポート2007 」

 サステナビリティに対する認識のもとに、各カンパニーの方針を明確に示し、各活動内容の網羅性も高く、きめ細かく充実した報告書となっている。創業60周年をむかえ、社会のニーズに応えた製品開発・提供によって社会に貢献しようとする姿勢が伝わってくる点も好感が持てる。2010年をゴールとする環境トップランナープランを策定し、その目標年に照らして、当年実績を分析し、翌年目標を提示しており、また過去の経年変化もわかりやすく示す工夫がなされている点、データ編を活用し、豊富な情報を開示しつつ、ページ数をおさえ、読みやすい報告書をめざしている点、マイナス情報の開示にも取り組んでいる点も評価できる。

 
大栄環境グループ 「大栄環境グループ CSR報告書2007」

 グループ全体で環境経営推進体制を構築し、事業所ごとに目標を定めて取り組んでいる。最終処分場を所有している廃棄物事業者として、跡地の活用や、新規処分場の管理方法を記載していることは評価できる。大気汚染・水質汚濁・化学物質・騒音などの実績を細かく記載していることも住民や排出事業者の関心に応えるものである。目標は単年度のみでなく中期目標についても示すこと、また2006年度に発生した死亡事故の概要や再発防止策をわかりやすく示すことなどの工夫が求められる。環境会計についての記載はないが、例えば最終処分場跡地の活用なども含めた分析がなされることが期待される。

 
株式会社リコー 「リコーグループサステナビリティレポート2007」
(環境経営報告書/社会的責任経営報告書/アニュアル・レポート)

 同社グループの報告書は、「経営報告書」であり、環境経営報告は、経営者の強いリーダシップを強調した内容になっている。したがって、結果だけでなく「今後の取組」を交えた計画主導型の記載内容には力強さを感じ大変期待感の持てる内容になっている。「環境経営報告書」は必要項目が網羅されているのみでなく、環境会計などにおける解説記述、環境・社会貢献の幅広い自然環境への取組などが特徴である。然しながら、今後は同社製品における環境配慮設計(DfE)などの具体策について、既述内容を充実させるとさらによいと思われる。
 また「アニュアル・レポート」では、単にグループ企業の採算データ集だけではなく、株主、投資家へ向けての透明性を含めた説明責任を果たす役割を的確に表現しており、以上からこれらの報告書は同社の「環境」と「経済・収益性」の両立を社会にアピールできる優れた内容になっている。社会的責任報告では、CSRの考え方の記述やグローバルな展開が見られるが、日本、海外の社会的課題に対応したパフォーマンス情報開示の改善を図り、「経営報告書」として完成されるよう期待したい。

 
株式会社リコー 福井事業所 「2007年度 リコー福井事業所 環境報告書」

 主要読者を従業員に特定し、自覚・実践・自信・自身の4Jで、サイトレポートを見事に構成している。引き続き事故・苦情のネガティブ情報とその対応についてきめ細かく開示しており、リコーの環境経営(製造過程におけるムダを無くす)の工場での実践事例が豊富に掲載されている。例えば、環境データのグラフに「よい」・「範囲内よい」の注釈を付け、また2007年の流行語を挿入し、そして巻末の「リコちゃんの虫めがね」では家庭での省エネや福井で見られるクワガタを紹介するなど、読んでもらおうという制作者の意思が伝わってくる。あえて課題を探すと従業員向けのレポートのためか、EMS体制や内部監査・外部審査の概要が読み取れないが、発行目的は十分に果たされたのではないかと思われる。

 
ワタミ株式会社 「ふれあい報告書2007(ワタミグループCSR報告書)」

 グループ各社・各部署でそれぞれCSR指標(多くが数値目標)を設定し、達成状況を客観的に評価している。環境負荷だけでなく、食材や調理などの安全・安心や顧客満足についても丁寧に記載しており、読者の関心に応えるものである。社会貢献として、外食事業の社員が介護を経験したり、障がい者施設の方を招いての食事会を開催したりしていることは、自社グループの資源を活かした取り組みであり評価できる。ただし従業員については正社員に関する記述が中心であるため、グループ全体で1万人を超える非正規雇用の従業員に対してどのような人事マネジメントを行っているかなどの記載も望まれる。環境パフォーマンスはよく把握されているが、中長期の環境目的が記載されていないことは課題である。またトップコミットメントにおいては、同社のCSR取り組みに関する現状の評価や今後の展望なども語っていただきたい。

持続可能性報告優秀賞(地球・人間環境フォーラム理事長賞)
伊藤忠商事株式会社 「伊藤忠商事 CSR Report 2007」

 トップコミットメントの中での、水道事業に関する意思決定の事例の紹介は、企業理念の実践の例としてわかりやすかった。
 事業活動と環境への関わりについては、LCA的手法による商品の環境影響評価の仕組みと審査フローを説明し、調査実績数を経年で記載して、マネジメントの仕組みとその運用成果を具体的に示している。事業のうち、環境保全型ビジネスについては、カンパニー別、影響側面、ビジネス分野別の件数が示されており、その全体像はよく説明しているが、事業全体の中での位置づけ(割合)は示されておらず、工夫の余地がある。
 取組については、カンパニーごとに、プレジデントのコミットメントが記載されており、そのカンパニーの部門の環境を含むCSR課題の具体的な項目ごとに、行動計画、実績、その評価、評価を踏まえた2007年度の方針と行動計画が示され、事業との関連性が体系的にわかる形の報告となっている。

 
株式会社INAX 「INAX Corporate Report 2007」

 ここ数年、企業の考えやメーカーとしての姿勢、その社風、企業ブランドカラーを前面に押し出した、INAX独自のスタイルとして定着したコーポレートレポートである。企業の一方的なメッセージではなく、社外の人のコメントや対談をふんだんに使い、対話の形で自己を主張していく形は今年も維持されている。たとえば、浴室乾燥機の接続部からの発火事故を受けての企業としての考え、対応について、企業からの一方的な「記載」で示すのではなく、品質、SCM、消費者コミュニケーションなど多角的に、消費者サイドの厳しいし第3者の視点を交えた討論で表現するなど、レポートとしての作りこみ、表現方法はかなり工夫されている。メッセージ的なものだけでなく、パフォーマンスデータもコンパクトに集約して開示されている。ただし、パフォーマンスデータに海外分が含まれないなどは、改善の余地が大いにある。

 
大和ハウス工業株式会社 「大和ハウスグループ CSRレポート2007」

 CSRの自己評価指標を導入して目標管理を実施しているが、分野別にそれぞれの指標と2006年度目標、2006年度実績、2007年度目標が報告されており、取組みの進捗状況を定量的に見ることができる。報告書は、会社のCSR経営の考え方に沿った構成で、図やまとめ方も工夫されており、わかりやすい。それぞれの取り組み内容については、方針または理念を合わせて示し、定量的な情報も比較的盛り込まれており、今後の取り組み予定を具体的に記載している活動も相対的に多い。ただ、自己評価指標の選定については、社会的課題との関連でKPIのさらなる検討が必要であろう。また、トップのコミットメントや持続可能性の認識については、もう少し強く明確だとなおよい。また、個々の記載ページでのバウンダリがわかりにくい点は、改善の余地がある。

 
東京急行電鉄株式会社 「企業の社会的責任報告書2007(CSRレポート)」

 同社は今年度より、このCSRレポートを鉄道事業法の「安全報告書」も兼ねるものとし、安全への取組みを前面に掲げた内容になっている。事業の内容から「安全」がCSRの基礎であることはいうまでもないことであり、その実施内容も「安全方針」「安全行動規範」を展開した大変わかりやすいものになっている。また一方で、沿線との協働、地域コミティー活動も同社の特色を生かした内容であり、エネルギー効率の高い新型インバーター(VVVF)車両への置き換えも業界をリードしている。活動の透明性の面では、事故、トラブルの分析内容が詳細に記載されており、顧客サービスのアンケート結果も充実している。これらから、リスクマネジメントやコンプライアンス体制の基盤が堅固であることが判る。
 しかしながら、報告内容の雇用パフォーマンスの面で、女性の採用数値や活動範囲拡大計画などの点でやや不足していることや、報告書の範囲が東急単体と一部のグループ企業に限定されていることなどは今後の改善が望まれる。

 
凸版印刷株式会社 「CSRレポート2007(トッパンの社会的責任活動報告)」

 印刷業界に求められる社会的責任として「ユニバーサルデザイン」を位置づけ、実際の取組活動や、ステークホルダーダイアログを通じて、さらに求められる「ユニバーサルデザイン」について掘り下げている点が評価できる。社会性報告では、社会的課題に対応したパフォーマンス情報が豊富で的確であり、とくに雇用・労働の分野での情報開示度は随一といえるであろう。第三者審査・第三者意見に対して極めて具体的な回答を記載しており、レポーティングへの真摯な企業姿勢がうかがわれる。
 環境マネジメントシステムにおいて、エコガード活動とエコクリエイティブ活動を環境活動の両輪として、PDCAサイクルをより効果的に回しているという印象を受けた。今後の課題として、ライフサイクルのどのステージでどのような環境負荷を与えているか全体像を記載すると、読者にとってより理解しやすくなると思われる。

 
日産自動車株式会社 「サステナビリティレポート2007」

 日産が目指す環境を含むCSR上9分野の方向性や姿勢を体系的なスコアカードで明確に打ち出し、また、その取組実績が掲載されている。環境についてはニッサン・グリーンプラグラム2010と連動。2050年のWell to WheelのCO2削減目標を2000年度比70%削減という、超長期目標を掲げ、環境面での事業展開の方向が明確なメッセージとして訴えられている点も含め、企業の問題意識や将来に向けての姿勢と現状が総合的に、また強いメッセージとして伝わるレポートである。
 詳細なパフォーマンス情報開示型ではなく、企業の考え、自らのあるべき姿(評価基準)と現状を示すツールとして、あらたな形を提示したものと考えられる。今後はやはりパフォーマンス情報の記載は必要であろう。

優秀賞(環境配慮促進法特定事業者賞)
独立行政法人宇宙航空研究開発機構 「JAXA ECOレポート2007 (社会環境報告(Sustainability Report)) 」

 事業者としてもっとも主張したい内容が、「基本理念」「トップコミットメント」「特集」の順に報告書に記載されている点は、読み手に事業者のメッセージが伝わりやすく、大変読みやすい報告書になっている。
 しかし、環境負荷の低減対策やその増減に対する原因について記載がなく、今後事業者としてどのように環境負荷の低減活動を展開するのかがみえない。また、各サイトでの取組内容も目標と簡単な実績のみの掲載となっているため、今後HPを活用するなどの工夫を期待する。

 
国立大学法人島根大学 「島根大学環境報告書2007」

 出雲キャンパスと松江キャンパスでデータを分けて開示しており、セグメント別のデータがわかりやすい反面、取組などもすべて別れて記載されているので島根大学全体としての取組がわかりにくい。出雲キャンパスと松江キャンパスで記載項目や内容の密度も違い統一感がない。
 環境会計や緊急時対応の記載が無い、マテリアルフローやサプライチェーン、知の生産に関する記載が乏しいなど網羅性は低いが、詳細なグリーン購入の記載やEMS対応委員会の活動など、独自の記載もありコミュニケーションツールとしてよく考えられている。ダイジェスト版も発行しており、姿勢は評価できるが、内容としては報告書の内容を細かく羅列してあるだけなので工夫の余地があろう。

 
国立大学法人信州大学 「環境報告書2007−全ての命を育む水−」

 環境への取組活動に関して、数値とともに具体的な改善活動の内容が記載されており、わかりやすい。学内ESCOによる二酸化炭素排出量削減など独自の取組もある。
 非常によくまとまっている反面、知の生産の具体的紹介などが少なく、今後の充実が望まれる。
 国立大学初のISO14001認証取得をされていながら、報告書では環境マネジメントシステムの具体的な説明がなされていないことに物足りなさを感じる。また、目標管理、マネジメント体制など記載がなく、継続的改善、PDCAの見える記載となっていないのは残念である。

 
国立大学法人千葉大学 「千葉大学環境報告書2007」

 学長メッセージに豊富な実績紹介、今後の具体的な予定が記載されており、トップが環境への取組にコミットしていることがうかがわれる。
 マネジメントシステムや目標管理、マテリアルフローなどよくまとめられている。全体的な管理から個々の取組の説明へと流れているため、記載の分量は多いが理解しやすい構成となっている。網羅性も高く、経年変化もわかりやすい。学生主体の環境マネジメントや、構内事業者との協力など、独自の取組が目を引く。

 
国立大学法人東京大学 「東京大学環境報告書 2007」

 データの記載が豊富である。環境負荷の多くをキャンパスごとに集計しており、イメージしやすい。面積原単位など、独自のデータを使ってわかりやすく記載している。報告書アンケートのフィードバックや知の創造に関しても豊富な記載がある。
 目標管理について、アクションプランをもっと詳細に具体的に開示するなど工夫の余地がある。全体像の把握(マテリアルフロー)も大雑把であり、地域住民などとの協力や、取引先など外部のステークホルダーとの取組の記載がなく記載対象が大学単体に留まっているのは今後の課題といえよう。

奨励賞
シスメックス株式会社 「シスメックスあんしんレポート2007」

 持続可能な社会への貢献について、本業での取組を基盤として社会との関わり合いの形で表現している。これにより、社会における位置付けが明確になり、企業の顔がクッキリと浮かび上がっている。さらに、網羅的に情報が記載されていることは高く評価できる。データの信頼性の担保や情報の豊富さが備われば、さらに充実した報告書となると思われる。

 
大栄サービス株式会社 「CSR報告書2007」

 苦情・事故を過去5年分掲載し、またライブカメラを設置し、そしてCSR報告書を2カ国語表記にするなど、積極的な情報公開に努めている姿勢がうかがえる。取り扱い廃棄物の9割以上をリサイクルしているとのことだが、具体的にどのような取組を行ってリサイクル率を向上させたのかがわかるとさらによい。排出事業者、留学生、及びこどもも含む様々なステークホルダーと対話していることは評価できるが、座談会や第三者委員会で得られた意見を会社としてどのように受け止めて必要な改善などを行うのかを示すことも期待される。廃棄物処理業(収集運搬)を行っている関連会社があるので、記載範囲をグループに拡大することも望まれる。