第10回 環境コミュニケーション大賞テレビ環境CM部門受 賞 一 覧
CMタイトルをクリックすると講評を見ることができます ■大賞(環境大臣賞) 1点
■優秀賞(地球・人間環境フォーラム理事長賞) 3点
■審査委員会特別賞 1点
※審査結果発表時には、東京海上日動火災保険株式会社の『「カーボンニュートラル」篇』がテレビ環境CM部門の優秀賞を受賞しましたが、その後、同社から諸般の事情により、受賞辞退の申し入れがありましたので、受賞を取り消しました。
◆静岡県 『"まずは1割"ごみ削減!! 「ごめんなさい」篇 「立派なごみ」篇』 生活に密着したゴミ問題を子供の素直な視線で捉え、「ごめんなさい」や「立派なゴミ」と言った台詞で表現している点が、自治体の取組としては新鮮であり、視聴者を引きつけている。正義感に敏感な子供の感覚からすれば、大人には日常であることも、少しおかしな世界であることにハッと気づかされる。ゴミ問題だけでなく全ての環境問題においても、子供の視点で解決していくことが必要とされているのではないかと、視聴者に問いかけるCMである。
◆株式会社INAX 『ECO6 TVCM 「宇宙」篇』 21世紀は水の世紀といわれている。「人が生活に使うことが出来るのは、地球上のわずか0.007%」というコピーをCM映像の中で宇宙飛行士が球体になったわずかな水を簡単に飲み干す。しかしその透明の球体の水はやがて宇宙船の窓から見える青く美しい地球の姿と重なり合う。再び「人が生活に使うことが出来るのは、地球上のわずか0.007%」というコピーが視聴者の脳裏に呼び起こさせる。いかに節水が大切かを宇宙飛行士の行動で示す表現技術は圧巻といえよう。CM対象商品であるトイレは毎日絶対に使うものだけに説得力がある。共感度、環境度、着想力そして美的センスに溢れた作品である。
伝えるべきメッセージを短時間に分かりやすく伝えるには、なるべくストレートなナレーションがいい。広告の注目度を高め、興味を持たせるためには、ペットや人気タレントを使うことが効果的だ。という二つの広告作法を合わせて、広告効果を上げたCM。同社のもう一つの応募作「ネコです」シリーズと好対照をなす、環境コミュニケーションの表現として極めて高度な作品である。とくに本心からの言葉に聞こえる吉永小百合のトークが素晴しい。
環境CMかどうか以前にCMとして完成度の高い作品である。アイディア=伝えたいことをより的確に伝えるための「工夫」が生きている。例えば、冷蔵庫を「つくるとき」、「使うとき」、「使ったあと」、それぞれの段階での環境への配慮を、「回転寿司」の流れにたとえて見せた結果、実際の場面をナマで見せるよりも、「環境に取り組んでいることの意味」が、よほど分かりやすくなった。「握る」シーン、あるいは「捌く」シーンを撮影するために本物の職人を使ったというだけあって、そのこだわりが完成度を高めている。
◆佐賀大学地域貢献事業「はちがめエココミネット」/伊万里『環の里』計画実行委員会 『ごみを宝に! 伊万里『環の里』計画と佐賀大学との連携』 環境問題で一番身近な生活現場の廃棄物を地域で循環させていく活動を、大学とNPOと市民が一体になって生ゴミリサイクル等で実践している様子が、あまり演出を加えず描かれている。CATVのインフォマーシャル※ならではの645秒という長尺CMで実現した。 米国ではSocial Capital(社会関係資本=地域の人と人とのつながりで地域社会を活性化していく)が話題になり、西海岸のポートランド州立大学とNPO、市民によるポートランド市の循環型社会作りが成功例と注目されている。佐賀大学の活動も日本におけるSocial Capital実践の好例といえないだろうか。 ただし、このCMがインフォマーシャルという形ではじめて成り立っていることを考慮して、審査委員会特別賞と決定した。
※インフォマーシャルとは、インフォメーションとコマーシャルをあわせた造語で、情報提供を主体とした長尺のCM。
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