砂漠化に対処するための国連条約第2回締約国会議について



 同条約第2回締約国会議は、1998年11月30日〜12月11日、セネガル・ダカールで開催された。以下に同会議を概観する。
(1) 締約国会議
1) 主要な議題
@ 条約実施状況の報告
A グローバルメカニズムの活動報告
B 事務局予算
C 事務局中期戦略
D 第3回および第4回締約国会議の作業計画
E 条約の実施および制度的な措置の検討

2) 主たる決定事項・成果
@ COP2では常設事務局が設置されるドイツの拠出金の一部を用いた信託基金の設立予算の増額等が議題になった。この結果、予算の総額は変更せずに、ドイツの拠出金の半額(約55万ドル)を用いて、条約関連のイベント経費のための信託基金を設立することを合意。
A 東欧・中欧諸国を対象とした第5の地域附属書の策定を開始することについて合意。
B 以下の事項についてはCOP3へ決定を先送り。

−事務局中期戦略〜事務局が行うべき業務の範囲についての議論があり、当初事務局から提出された文書は採択されず、新たな文書を作成することになった。
−締約国会議とIFADとの間のグローバルメカニズムに関するMemorandum of Understandingの採択
−条約実施のレビューのための委員会の設立提案(G77と中国による提案)

C 今後のCOPの作業としては、COP3は(a)アフリカにおける地域・小地域行動計画の実施報告、(b)グローバルメカニズムの覚え書きの採択、政策・操作上の方策の確定、その活動の最初のレビューを行う、B他の条約との関係促進・強化など、COP4はアフリカ以外の影響国の地域行動計画、小地域行動計画の実施報告などを行う。
D COP3を1999年11月15日〜26日までブラジル(レシフェ)で開催することを決定。

(2) 科学技術委員会(CST)
1) 主な議題
@ 専門家名簿
A 基準と指標
B 伝統的知識

2) 各議題の検討状況および主な決定事項
@専門家名簿
 今後、名簿の拡充にあたり、専門家の性別、専門分野のバランスを考慮すること、NGOおよび国際機関からの専門家の登録を増やすこと等を決定。

A基準と指標
 基準指標についての小委員会が2回開催され、これらの会合の結果がレポートとして提出された(ICCD/COP(2)/CST/3 and Add.1)。基準・指標の実際の運用に先立ち、アフリカ地域の国において、地域的な汎用性のテストを行うこと等が決定された。その他、生物多様性条約、気候変動枠組み条約等の他の条約と同種の作業は連携して行うこと、テストを行うべき指標、適用されるべき指標のレベルについて、またモニタリングからのフィードバックの重要性が指摘された。

B伝統的知見
 12カ国5オブザーバーの参加により事務局が作成したレポートに基づき議論が行われた。主な議論の内容は以下の通り。
−利用可能な情報源の情報が必要→関連情報の共有化
−近代技術との連携
−伝統知識への脅威の特定、教育・コミュニケーションの重要性
−インベントリーの作成が必要
−伝統知識からの社会・経済的な恩恵
−国家行動計画への反映
 また、CSTのもとに伝統知識の小委員会を設置するかどうかで意見が分かれたが、結局以下のような作業をするための小委員会を設置することになった。
−伝統知識とその実践による社会経済的影響等の阻害要因
−伝統知識と近代科学技術の効果的な連携のための戦略
−成功した手法の促進と交換のためのメカニズム

CCSTの今後の作業予定
 トレーニングシステム、技術移転、土地管理、干ばつの早期警告システム、水土壌管理、女性の問題、国家政策への水・土地管理の反映、集水技術、砂漠化のマッピング、人材育成などが今後のトピックスとして挙げられたが、最終的には「最も広い範囲での早期警戒システム」(水資源管理や保全も含む)が優先項目に決定された。このほか、COP3までに少なくとも1回の会合をもつこと、締約国は99年の6月までに早期警戒システムとこの分野の機関についての情報を提出することが決定された。

(3) NGOとの対話セッションおよびNGOの条約実施への参与
 会期中、2回にわたって正式なプログラムとしてNGOとの対話セッションが設けられ、「伝統的知見の活用」と「国家行動計画の策定・実施プロセス」においてどのようにNGOと各国政府との連携を図っていくべきかについて事例が紹介され、議論が交わされた。
 また、グローバルメカニズムへのNGO等の参与についても合意文書で言及されている。

NGOセッションで主な論点として強調されたのは以下のような事柄である。
○ NAPを策定する上で日々の暮らしに関わる生産活動を持続可能に行っていくことを重視すること
○ 伝統的な知見の情報の蓄積と普及、NAPへの活用における政府、NGO、市民組織、女性グループ、国のパートナーシップの重要性
○ 地域住民の参加促進における宗教および宗教団体の役割の重要性
○ 女性の役割〜女性のもつノウハウの保護、それをすべての段階にわたって活用していくためのNGOの役割
○ NAPプロセスに地域コミュニティを巻き込んでいくために、情報普及促進戦略が必要
○ NGO勧告:伝統技術についてのNGOの経験や知識を行動計画の策定や実施に活かすこと、自然資源を適正に使用する技術の採用を促進すること、awareness喚起のワークショップの開催、地域レベルでのパイロットプロジェクトの実施、NAPプロセスへのCBOや女性を取り込んでいくための政治的な意思および支援が不可欠、今後のCOPでもNGOセッションを設けること…など




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