
神奈川県では、全国で最も早くローカルアジェンダ21を策定した自治体の一つであり、県の各部局、県民団体、市町村、学識経験者などによる総合的な検討を行った後、総合的で包括的な「アジェンダ21かながわ」を完成させた。
 
 
 
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県の環境政策に関する協議の場として、関係44室課の課長レベルによる「神奈川地球環境保全連絡調整会議」を設置し、平成4年7月〜12月にかけて5回の検討を行った。
また、県内の市町村が参加する「神奈川県市町村地球環境保全連絡会議」が平成3年9月、企業が参加する「神奈川県地球環境保全経済団体連絡会議」が平成4年1月に発足したのに続き、県民団体42(当時)の参加による「神奈川地球環境保全県民連絡会議」が発足し、平成4年3月から12月にかけて6回の検討を行った。これらの会議については県が事務局をつとめ、素案をとりまとめた。県民団体としては、関係各部からの紹介により、環境、青少年、女性、福祉、交通、安全、その他の団体が参加した。
素案発表は平成4年10月行われ、1ヶ月半にわたり県民参加の期間を設けた。手法は以下の2通りである。
・ 各種会議に事務局が出向き、説明を行い意見を聴取する方法
・ 素案に、意見を記入して投函できるようハガキを綴じ込み、団体に属していない県民からも意見を募る方法。
この手法により、よせられた総意見数は496(会議等293、ハガキ等203)
このうち、
素案へ反映・参考とした意見 399
活用方法に関する意見 46
その他(行政への要望等) 51
であった。
また、平成5年1月、新たに95団体、3つの部会から構成される「かながわ地球環境保全推進会議」が発足した。かながわ地球環境保全推進会議の県民部会には青少年団体、PTA、老人クラブ、協同組合、NGOなど47団体が所属している。同アジェンダはこの「かながわ地球環境保全推進会議」で採択された。
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4の基本方針ごとに21の行動計画を設定し、それぞれについて県民、企業、行政の77の行動プログラムを例示するもので、行動計画−行動主体の順に整理されている。
4の基本方針・21の行動計画は以下の通り。
基本方向I 環境保全型ライフスタイルの定着化
1. 省エネルギー型のホーム・オフィスライフをすすめます
2. ゴミの減量化につとめます
3. ゴミの再資源化につとめます
4. 自動車の走行に配慮します
5. 節水・水の再利用につとめます
6. 排水に配慮します
7. 環境学習や実践活動をすすめます
基本方向II 環境に配慮したまちづくり
8. 都市のみどりづくりをすすめます
9. 環境に配慮した都市基盤整備をすすめます
10. 自動車交通体系の整備をすすめます
11. 環境共生型住まい・オフィスづくりをすすめます
12. 未利用エネルギーの利用をすすめます
基本方向III 環境と共生する社会システムづくり
13. 廃棄物処理対策を推進します
14. 資源の有効利用につとめます
15. 環境マネジメントシステムの確立をめざします
16. エコビジネスを支援します
17. フロンガス対策を推進します
基本方向IV 環境分野における国際協力の推進
18. 環境保全に関する国際協力をすすめます
19. 森林資源の保護対策をすすめます
20. 環境保全技術の移転をすすめます
21. 海外進出に際して環境配慮につとめます |
 
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@ 全国に先駆けて策定。
A 企業、県の団体、市町村から構成されるかながわ地球環境保全推進会議を組織し当該アジェンダを推進している。
B 具体的行動を県民、企業、行政に分けて設定。
C 随所に「こうやればこうなる」という具体的な数字を出している。(例えば「仮に年間500万枚のコピー用紙を使っている企業であれば、高さ8mの直径14cmの木約520本を消費したことになります。これを古紙混入率70%の再生紙を使用すれば、364本の木を守ることになります」など)。
D第5章に「取り組みの実践事例」を掲げ、5つの事例を見開きで紹介している。 |
 
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地球温暖化防止の取り組み事例集を参考に温暖化防止の実践を呼びかけ、さらに具体的な事業活動として市町村と連携してフロン回収システム事業を実施。この事業は「神奈川県フロン回収処理推進機構」に移管され充実が図られている。 |
 
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基本方向ごとに目標をかかげている。数値目標としては以下のような目標を掲げているが、その他は記述的な目標である。
基本方向T 環境保全型ライフスタイルの定着化:「10%の節電をすすめよう」「ゴミの量を10%減らそう」「10%の節水をすすめよう」 |
 
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ローカルアジェンダ21策定過程で県民に参加してもらい認識が広がった。
フォローアップとしては、前述の「かながわ地球保全地域推進会議」の果たしている役割が大きい。同会議には平成8年4月現在で、47団体の参加する県民部会、10団体の参加する企業部会、県および市・町の参加する行政部会がある。ローカルアジェンダ21の実施を、推進会議の構成団体を通して呼びかけ、「かながわエコ通信」(2回/年、各30,000部)を発行したり、神奈川新聞でのキャンペーン(5回/年)や地球温暖化防止キャンペーン事業等を実施している。
ローカルアジェンダ21をベースとしたさまざまなイニシアチブには、例えば雨水とリサイクル資源を利用した環境共生住宅の建設、フロンガス回収・処分のシステム、公共事業における熱帯木材のコンクリート型枠の使用削減では、地域の建設業界の協力を得て、使用量の70%削減を達成した。
事務局である神奈川県が構成団体の行動の実施状況を取りまとめて推進会議に報告し、また当年度の事業計画を推進会議に諮り、決定している。また、県民・企業・行政の連携を深めるため「推進実施活動交流会」を継続的に開催している。この中でローカルアジェンダの趣旨に沿って実践活動を行う個人・団体に対して「かながわ地球環境賞」や「かながわ地球環境保全ポスターコンクール」の表彰を行っている。また、推進会議の構成団体に呼びかけて温暖化防止の取り組み事例を収集し、わかりやすい事例集を作成した。(かながわから地球温暖化防止を−100の行動事例集) |
 
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目標はかかげてあっても実効性の確保についての手段が難しい。普及啓発に努めているが、個々の企業、県民にまで、具体的な行動を浸透させるまでには至っていない(自治体担当者)。 |
 
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神奈川県 環境部環境政策課 地球環境班
TEL:045-201-1111内3737, FAX:045-201-7908
http://www.fsinet.or.jp/~k-center/ |
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