事例1:環境マネジメントシステムの充実、環境影響の調査手法 高田 聡/世田谷区 環境・災害対策室 環境課 環境計画担当 |
自治体における環境影響は、(1)日常オフィスにおいて発生するエネルギー使用、物品購入、紙の使用などの影響、(2)自治体が事業主体となり実施する事業活動に伴う環境影響――の2つに分けることができます。実際の環境影響調査は以下の方法で行われています。
1.日常業務活動における環境影響評価項目
@モデル職場における環境行動の自主点検
すべての職場に環境マネージャーを設置し、職場ごとの取り組みを推進しています。これは職場における取り組みを環境行動チェックシートに基づき自主点検を行い、27ヶ所のモデル職場から4半期ごとに提出を受け集計を行っているものです。
Aグリーン購入量
購入方法として、収入役室で一括購入している物品(用品指定品目)と、所管ごとで購入している物品とがあります。この用品指定品目250のうち、環境配慮商品が111あり、その購入量が把握できます。どういう点で環境に配慮しているのかを明らかにするのが課題となります。
B広報印刷物
自治体の事業活動の中で印刷物というのは大きなウェイトを占めています。世田谷区では広報広聴課で印刷物のマニュアルを策定しています。その中で広報印刷物の登録制度があり、印刷物の発行部数、古紙配合率、白色度等を調査するようにしています。
(その他、ガソリン購入量、ゴミ排出量、自動車走行距離、資源回収量、エネルギー使用量などについても把握手法を紹介)
2.事業活動
世田谷区では今年から、施策評価制度を導入しています。施策の体系の分類・階層を整理した上で、この最小単位である個別事務事業2398のそれぞれについて環境影響を評価することになります。この評価の仕方については、ISOの規格に基づき、以下のような事業を対象にしています。また、施策評価の実施にあたって開発した「施策評価支援システム」を活用し、データの共有をはかり、決算・予算額や実績数値等のデータを活用することにしています。
個別事務事業による環境影響評価項目は、@環境配慮制度(いわゆる公共事業)に該当する事業、A環境に関連した法的な規制を受ける事業、B環境関連の苦情を受けた事業、C緊急事態が想定される事業、D環境基本計画該当事業――などを設定しています。
3. 今後の課題
今後の課題としては、まず情報の共有化です。重複する内容の調査が行われており、庁内情報網の整備とあわせ、情報の共有化や事務省力化を進める必要があります。次に環境影響を図る指標の開発が必要です。例えば、環境に配慮した製品を購入しているといっても、それを金額や数量で示しただけでは、その購入が環境負荷削減にどの程度効果があるのかは明確にはわかりません。その効果をはかり、それを表現することが必要なのではないかと思います。
さらに、施策評価との連携も課題です。世田谷区では、環境マネジメントシステムの構築とともに、施策評価の導入準備を進めています。環境マネジメントシステムは、環境面の影響を評価するものですが、地域福祉の向上を図るという自治体の立場から総合的な視点をもって施策を評価する必要があります。