世界遺産トラスト

この事業は世界遺産条約の主旨にもとづき、ユネスコ世界遺産委員会によって作成された世界遺産リストにある自然遺産、文化遺産を映像などによって記録し、その素晴らしさと価値を広く世界に伝えることを目的とするものです。地球・人間環境フォーラムでは、1992~1997年に「世界遺産トラスト」として活動を展開し、映像記録4点と報告書2冊を完成させ、終了しています。

具体的には、各国の世界遺産を映像によって記録し、ユネスコ、国際自然保護連合(IUCN)、国際記念物遺跡会議(ICOMOS)、各国関連機関、国内関連機関などに贈呈しました。また映像に記録するだけではなく、各遺産の概説と特徴、重要性についてまとめ、さらに、将来に受け継いでいくための問題点や課題、時には存続の危機に瀕している事柄などについて調査し、報告書の作成も行いました。

これまでの成果として、南米6ヵ国24件の調査・撮影(1993年)、インド21件の調査・撮影(1995~1996年)を行い、下記の映像記録および報告書を作成しています。

映像記録(4点)

「世界遺産・南米編 I」 (1994年)
「世界遺産・南米編 II」 (1994年)
「世界遺産・インド北西編」 (1997年)
「世界遺産・インド南東編」 (1997年)

報告書(2点)

「世界遺産資料集・南米編」 (1994年)
「世界遺産インド編報告書」 (1997年)

1993年には南米6ヵ国24件の世界遺産を調査・撮影し、ウアスカラン国立公園ではアンデスコンドル、マヌー国立公園ではヘンディーウーリーモンキーなど絶滅の危機に瀕している貴重な動物種をカメラに収めることができました。また、ブラジルのセラ・ダ・カピバラ国立公園(古代壁画がある文化遺産)では、地元の住民が貧しいため公園の資源を利用せざるを得ず、密猟などにより遺産の保全に問題が起こっていますが、職業教育や環境教育による自立的な地域発展により、地元住民と世界遺産との共存を図ろうとしています。観光により地域を活性化させ、かつ公園の資源や遺産に被害を与えないよう、エコ・ツーリズムを徹底させようとしている様子も映像や報告書によって伝えています。

1995年度にはインドの世界遺産を撮影し、マナス国立公園(民族紛争のため閉鎖されていましたが、最近ようやく一般の入場が可能になりました)では、トラのほか、ゴールデンラングール(猿の一種)、ベンガルフロリカン(鳥)など貴重な動物を撮影できました。また、仏教、ヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教などの多様な文化遺産とその保全への取り組みも映像で紹介しています。

作成日:2016年06月13日 15時02分
更新日:2017年07月06日 12時42分